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NABAゴールド・ヘビー級タイトルを得た23歳

林壮一ノンフィクションライター
David Martin-Warr/Don King Productions

 先日、NABAゴールド・ヘビー級タイトルを獲得したダカリー・スコットは、身長178センチながら、体重125.4キロの短躯である。先月末に行われた同タイトルの決定戦では27.2キロの体重差をアドバンテージとし、97-93、96-94、94-96のスプリットディシジョンで勝利を掴んだ。

David Martin-Warr/Don King Productions
David Martin-Warr/Don King Productions

 7戦全勝6KOのスコットはジョージア州デケイター出身の23歳。2020年11月28日に行われたエキシビションマッチ、マイク・タイソンvs.ロイ・ジョーンズ・ジュニア戦の折、ジョーンズのスパーリングパートナーに抜擢されている。無論、体系がタイソンに似ているからだ。

Tyson vs. Jones
Tyson vs. Jones提供:Joe Scarnici/USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 この時のトレーニングキャンプで、スコットはジョーンズからインファイト時のディフェンスに関するアドバイスを受けた。

 NABAゴールド・ヘビー級タイトル空位決定戦で、その成果を見せたいとリングに上がった。

 デビュー戦では2ラウンドKO勝ちを飾り、その他の試合は全て初回で相手をキャンバスに沈めているスコットは、左右のフックを出しながら積極的に前に出る。

David Martin-Warr/Don King Productions
David Martin-Warr/Don King Productions

 だが、コンパクトな攻撃ではなく、空振りが多い。また、ディフェンス面では雑さが見られた。

 ボディーを狙い、次に顔面という上下の打ち分けはいいのだが、パンチを出した後の動きに意識が回らない。4回には偶然のヘッドバットを受けて、左目から出血した。以降、左の視界を奪われながら、相手のジャブに手を焼く。

 試合後、スコットは言った、

 「大した傷じゃない。自分が10ラウンド、フルに戦えることは分かっていたさ。向こうはホールドしたり、首や腕を掴んだりと汚かった。ハードに練習したからこそ、このベルトを手にできたよ」

 まだまだ先がある23歳。気の強さが武器である。引き続きロイ・ジョーンズ・ジュニアの下で技術を磨けば、面白い存在になるかもしれない。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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