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ロマチェンコは統一王座に返り咲けるか?

林壮一ノンフィクションライター
(写真:ロイター/アフロ)

 2021年11月27日にテオフィモ・ロペスを下してWBAスーパー/IBF/WBO/WBCフランチャイズのライト級タイトルを手に入れたジョージ・カンボソス・ジュニアの初防衛戦が、6月5日で決まりかけていると、ESPNが報じた。

 場所はカンボソスの母国であるオーストラリアで、会場は5万3000人を収容できるメルボルンのマーベル・スタディアム。そして、挑戦者はワシル・ロマチェンコ。

 ロマチェンコは、ご存知のように、現在カンボソスが巻く4本のベルトのうち、3本を保持しながら、IBF同級王者だったテオフィモ・ロペスに敗れた(2020年10月17日)元統一チャンプである。

写真:ロイター/アフロ

 もし、カンボソスが6月5日に王座陥落した場合、リターンマッチを用意する内容で交渉が進み、締結まであと一歩のところまで来ているという。オーストラリアの6月5日(日曜日)の午後とは、アメリカ時間土曜日の夜であり、ESPNが中継することになりそうだ。

 とはいえ、合意に当たってカンボソス陣営が何点か譲れない要求をしており、現統一王者のプロモーターであるルー・ディベラは、ノーコメントを貫いているとのことだ。

写真:ロイター/アフロ

 正式発表の前にESPNがこうしたニュースを発信するのは、それ相応の自信があるからだ。あるいは、何としてもこのカードを実現させたいという、同社の意志も伝わってくる。

 ESPNはロペス戦におけるカンボソスの勝利を、2021年度のUpset of the Year(年間最高番狂わせ)に選んだ。また、同社オリジナルのライト級ランキングでは1位をカンボソス、2位をロマチェンコ、3位をジャーボンテイ・デービスとしている。

 自社と契約を結ぶ選手を優遇している感が拭えないが、是が非でもカンボソスvs.ロマチェンコを組み、花火を上げたいようだ。

写真:ロイター/アフロ

 28歳のチャンピオンに、34歳になったばかりの大ベテランが、いかに挑むのかにも興味が湧く。

 このクラスにはカンボソス、ロマチェンコ、ロペスの他に、WBAレギュラー王者のジャーボンテイ・デービス、そのデービスを昨年末に苦しめたイサック・クルス、14戦全勝12KOのローランド・ロメロと、実力者が揃っている。

 どんなカードが決まっても、竜騰虎闘が見られそうなライト級。今後の動きに期待したい。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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