Yahoo!ニュース

コービーから受け取ったメッセージ「伝説の男になれ」を胸に王者を目指す背番号1

林壮一ノンフィクションライター
(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 フィニックス・サンズの背番号1、デビン・ブッカーがNBAファイナル第2戦でもチームハイとなる31得点を挙げ、118-108の勝利に貢献した。サンズはこれで2勝0敗。チャンピオンリング獲得に向け、大きく歩を進めた。

 ブッカーは、ロスアンジェルス・クリッパーズとの西地区ファイナル第2戦において、パトリック・べバリーのヘッドバッドを浴びて鼻を負傷。この日も、対戦相手の腕が鼻に当った際には、苦痛に顔を歪めた。

 それでも、躍動感のあるドライブを何度も見せる。44分5秒のプレーで25本のシュートを放ち、成功が12本。3ポイントは12本中7本がネットを揺らした。

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 一方、東地区ファイナル第4戦で左ひざを負傷したミルウォーキー・バックスのエース、ヤニス・アデトクンボもケガを押してプレーし、42得点12リバウンドと存在感を見せ付ける。

大ベテランのクリス・ポールは、41分27秒プレーし、23得点8アシスト
大ベテランのクリス・ポールは、41分27秒プレーし、23得点8アシスト写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 とはいえ、20得点以上がアデトクンボ1人のバックスに対し、サンズは3名。ティップオフから2Qの5分過ぎまではバックスがリズムを掴んだが、追いつかれ終盤に向かうに連れ、サンズが総合力の違いを見せた。

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 攻守にわたってコートを走るデビン・ブッカーの、貢献度が光る。鼻のケガが完治していないとはいえ、自身の価値を高めている。元NBA選手の父を持つブッカーは、幼少期よりバスケットボールを片手に育った。2015年にドラフト1巡目13位でコールされてサンズ入り。

ブッカーのシューズには「Be Legendary」の文字が
ブッカーのシューズには「Be Legendary」の文字が写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 物心がついた頃からブッカーのアイドルは、コービー・ブライアントであった。生前、ブライアントはブッカーの将来性に期待し「Be Legendary(伝説の男になれ)」という言葉を贈った。コービーが2020年1月26日にヘリコプター墜落事故で永眠した後、ブッカーは、その一言を噛み締め、TATTOOとして体に刻み、さらにはシューズにもその言葉を記してコートに立っている。

写真:ロイター/アフロ

 ブッカーは語る。

 「『自分の仕事を成し遂げろ』というコービーの言葉の意味が、今、良く分かる。その為に、チームの一員として出来ることをやっているんだ。ボールを奪うこと、闘争心、そして局面での勝負、コービーの影響を大きく受けているよ」

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 24歳のブッカーは、かつてのNBAナンバーワンだった男に、一歩一歩近付いている。サンズのシューティングガードは、どんな伝説を築くか。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

林壮一の最近の記事