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WBA暫定スーパーフェザー級タイトルマッチは王者が防衛

林壮一ノンフィクションライター
Photo:Esther Lin/SHOWTIME

 WBA暫定スーパーフェザー級王者クリス・コルバートがデビューから16連勝(6KO)を飾り、同タイトルの防衛に成功した。118-110が2名、残る1名は117-111とワンサイドの内容であった。

 ニューヨーク、ブルックリン出身の24歳は何度もスイッチし、挑戦者を攪乱した。とはいえ、このタイトルのスーパー王座に就いていたレオ・サンタ・クルスや、クルスを下したジャーボンテイ・ デービスと比較すると、かなり見劣りする。

Photo:Esther Lin/SHOWTIME
Photo:Esther Lin/SHOWTIME

 ベルトラインに「PRINCE」の文字を入れ、奇抜なデザインのトランクスは、ナジーム・ハメドの影響か。いいジャブを当てても、その後が続かない。また、時折見せるコンビネーションにスピードはあるのだが、試合の組み立てに工夫が見られない。ダラダラとラウンドを重ねた。

Photo:Esther Lin/SHOWTIME
Photo:Esther Lin/SHOWTIME

 フェザー級から増量し、130パウンドで初試合となったツグスソグ・ニヤンバヤルは愚直に前に出る。

 「ニヤンバヤルが前進したからこそ、いい試合になった。あの闘志には脱帽だ。ただ、気持ちの強さは感じたが、下のクラスのパンチって印象だったな。ボクシングは打っては躱し、躱したら打たねばならない。俺は『蝶のように舞い、ハチのように刺す』アリのスタイルを真似ようと、常々感じている」

 試合後のコルバートの発言に、説得力は無かった。

Photo:Esther Lin/SHOWTIME
Photo:Esther Lin/SHOWTIME

 モンゴル出身のニヤンバヤルがフルラウンド戦えた様を鑑みても、日本人選手にとって、コルバートは狙いやすい王者かもしれない。SHOWTIMEが必死に売り出しているが、チャンピオンとしての技量は、とてもAランクではない。

 日本のスーパーフェザー級の実力者が名乗りを上げれば面白い。SHOWTIMEでオンエアーされれば、全米進出も果たせる。ジャパニーズチャレンジャーよ、立ち上がれ!

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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