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WBCバンタム級王座に挑むノニト・ドネア、「井上尚弥戦の私とは違う」

林壮一ノンフィクションライター
撮影:山口裕朗  日本のファンには2019年11月7日の井上尚弥戦が記憶に新しい

 現地時間29日に催されるWBCバンタム級タイトルマッチの挑戦者、ノニト・ドネア(38)がトレーニングキャンプを振り返った。

 「今回の試合に向けてジムで練習を始めた際、自分のパワー、スピードが強烈だと感じた。私の体は、しっかりとした休息を必要としていた。休む期間があったうえでの準備だったので、土曜日の試合には自信を持っている」

撮影:山口裕朗
撮影:山口裕朗

 「ノルディーヌ・ウバーリ(34)はテクニックがあるね。アマチュアでキャリアを積み、世界のベルトを腰に巻いているのだから、侮れない選手だ。我々の陣営は、けっして彼を過小評価していない。賢いファイターだと思う。

 でも、私にはキャリアとパワーとスピードがあり、何よりも彼を倒すというモチベーションがある。いつものように、KOを狙っていくよ」

撮影:山口裕朗
撮影:山口裕朗

 「(井上尚弥戦以来という)長いブランクは、時にフラストレーションを感じた。が、体を回復させ、リフレッシュする時間を与えてもらったよ。素晴らしく密度の濃いキャンプとなった。子供たちや妻とも一緒に過ごせたし、気持ちの面でも充実していた。傷が癒え、若さが蘇った。どんな戦いになるか、ちょっと予想できないね」

撮影:山口裕朗
撮影:山口裕朗

 「この4~5年、いや、もっとかな。スパーリングでは相手を壊さないようにやってきた。でも、今回のキャンプでは、自分のペースで全てのパートナーを倒すつもりで激しくやった。その結果、昔の自分が持っていたような殺し屋の本能が戻って来たんだ。井上戦の後、自分はスパーの内容を変えねばならないと気付いたよ」

撮影:山口裕朗
撮影:山口裕朗

 「井上との試合後、たっぷりと時間があったのでサウスポーについて学習し、対策も練った。私の敗北の半分はサウスポーが相手だからね。学んだことが自信に繋がる。今ならどんなサウスポーだって攻略できるさ。

 私の不利を予想する声が多いようだが、まったく気にならない。この試合は自分にとってのチャレンジであり、意欲はたっぷりだよ。私がまだやれるということを証明してみせる。今、私を駆り立てているのは、ウバーリを叩きのめすということさ」

 伝説的チャンピオンであり、紳士でもあるドネアにしては珍しく攻撃的な発言ばかりである。井上尚弥戦では、敗れながらも自身の価値を上げたドネア。明後日は、どんなファイトを見せてくれるか。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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