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長谷川穂積とWBCフェザー級王座を懸けて戦った男の41戦目

林壮一ノンフィクションライター
Photo:Esther Lin/SHOWTIME

 23歳のスーパーフェザー級、エグゼビオ・マルティネスがSHOWTIMEに登場した。プロ生活17戦目の相手は、10歳年上のメキシカン、ファン・カルロス・ブルゴスだった。2010年11月26日にWBCフェザー級タイトルを懸けて長谷川穂積と戦い、判定負けを喫したベテランである。

Photo:Esther Lin/SHOWTIME
Photo:Esther Lin/SHOWTIME

 34勝(21KO)4敗2分けのブルゴスは、初回から気持ちの入ったファイトを見せた。一歩も引かずにマルティネスと打ち合い、ロープに詰めて左フックをクリーンヒットした。

 が、ラウンドが重なるごとにマルティネスの連打の回転が上回っていく。4ラウンドに入るとベテランは、ペースダウンした。

 足の運びもジャブも弱々しくなっていったブルゴスを、マルティネスが圧倒していく。

Photo:Esther Lin/SHOWTIME
Photo:Esther Lin/SHOWTIME

 結局、放ったパンチの37%をヒットしたマルティネスが、同31%のブルゴスからポイントを奪い、3名のジャッジ全員が99-91と採点して23歳が勝者となった。

 試合後、マルティネスは言った。

 「ブルゴスが出てくることは予想していたので驚かなかった。彼は本当にタフだね。こういったファイトが自分の成長に繋がると思う。ハードな試合からは、いろいろ学べるよね。

 楽しい試合だった。ファンも喜んでくれた。もっと巧みに戦えるかと思っていた。力みがあったかな。でも、彼のパンチをヘッドスリップで躱せたし、自分のクリーンヒットの方が多かった。

 足で捌くことも可能だったけれど、お客さんが熱狂するように敢えて打ち合ったんだ。今日の自分の勝利に不満を述べる人は、いないんじゃないか。素晴らしい勝利だと自負しているよ」

Photo:Esther Lin/SHOWTIME
Photo:Esther Lin/SHOWTIME

 敗者となったブルゴスも話した。

 「マルティネスはいい選手だ。自分が戦った中でベストファイターだと思う。言い訳はしない。残るのは結果だけだから。

 でも、こんな大差とは感じなかった。スコアには疑問を感じる。試合後の観客のブーイングがそれを物語っているさ。エキサイティングな試合をお届け出来た筈だよ。ファンが喜んでくれたことに、私も幸せを感じる」

Photo:Esther Lin/SHOWTIME
Photo:Esther Lin/SHOWTIME

 長谷川穂積と戦うために来日した際、ブルゴスの戦績は25戦全勝18KOであった。長谷川に初黒星を付けられてから10年の間に、16戦を戦って来たその闘志に、拍手を送りたい。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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