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ノニト・ドネアが5月29日にWBCバンタム級タイトルに挑戦

林壮一ノンフィクションライター
(写真:ロイター/アフロ)

 日本人にとって、よく知られた外国人選手によるWBCバンタム級タイトルマッチが、来る5月29日に組まれた。

 チャンピオンのノルディーヌ・ウバーリ(34)は、2019年11月7日に同タイトル暫定王者だった井上拓真を判定で下している。挑戦者であるノニト・ドネア(38)は、同じ日に井上尚弥との死闘を演じ、敗れながらも自身の商品価値を上げた、美しきファイターである。

 両者は昨年末に拳を交えることとなっていたが、共に新型コロナウィルスに感染し、ブランクを余儀なくされた。言わば、今回は仕切り直しの一戦である。

写真:YUTAKA/アフロスポーツ

 プロモーターであるTGBプロモーションの代表、トム・ブラウンは話した。

 「ウバーリもドネアも1年以上、この試合に向けて準備して来た。ついに、この2人が戦う日がやって来た。ウバーリはバンタム級で自身の実力を証明したが、ドネアという将来殿堂入り確実の選手に勝てば、次のレベルに進むチャンスを得る」

写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 フランス代表として、北京、ロンドンと2度の五輪に出場したウバーリの戦績は、17戦全勝12KO。今回が3度目の防衛戦となる。プロとして米国のリングに上がるのは、同タイトルを獲得した2019年1月19日以来だ。

2019年1月19日、ルーシー・ウォーレンを判定で下してWBC王座を獲得した。
2019年1月19日、ルーシー・ウォーレンを判定で下してWBC王座を獲得した。写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 ウバーリは言う。

 「ついに決まった。楽しみで仕方ないよ。2人のバンタム級ベスト選手が戦うのだから、世界中のファンが心を躍らせているだろう。ドネアは伝説のファイターであり、心から尊敬している。

 でも、チャンピオンはこの俺だ。自分が勝者となることに疑いはない。家族の為、祖国の為に戦い、ボクシング史にこの名を刻んでみせる。非常にモチベーションが上がっているし、試合の日は花火を打ち上げてやるさ」

撮影:山口裕朗 
撮影:山口裕朗 

 一方、5階級を制したドネアは、40勝(26KO)6敗。彼がリングに上がるのは、2019年の年間最高試合となった、あの井上尚弥戦以来である。

写真:ロイター/アフロ

 ドネアも語った。

 「私は常にリングで戦う準備をしています。いつもコンディションを整え、体を作り、反射神経やパワーを磨いているのです。29日にファンの前で戦うことが、待ち遠しいです。

 井上尚弥戦のリングでは、技術、闘志、そして決意を見せられたように感じています。ウバーリとの試合でも、自分をお見せしますよ」

 試合まで11日。どんなファイトとなるだろうか。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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