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13戦全勝10KOのライト級ハードパンチャーに注目だ!

林壮一ノンフィクションライター
Photo:Sean Michael Ham/TGB Promotions

 第7ラウンド2分14秒。サウスポーであるフランク・マーティンが放った2つのジャブからの左フックがジェリー・ペレスの顎を直撃し、ペレスはゆっくりと腰からキャンバスに沈んでいった。

 カウント・ナインで何とか立ち上がったペレスに、マーティンは猛攻をかける。そして同ラウンド終了直前にレフェリーが試合を止めた。正式なノックアウトタイムは2分59秒。

Photo:Sean Michael Ham/TGB Promotions
Photo:Sean Michael Ham/TGB Promotions

 試合開始ゴングの時点で、12戦全勝9KOだったマーティンに対し、ペレスも13戦全勝10KO。

 戦績通り、両者共に自信たっぷりにリングに上がった。

 マーティンはジャブの正確さと手数でペレスを圧倒した。攻撃のみならず、ディフェンス面でも巧みさを見せ、相手のパンチを捌く。何よりの強みは、まとめて打てる点だ。何度も回転の速いコンビネーションを見舞う。

 ペレスにとってのベストラウンドは4回だった。カウンターの左フックを顔面にヒットし、活路を見出そうとした。同ラウンドだけは、ポイントを稼いだ。

Photo:Sean Michael Ham/TGB Promotions
Photo:Sean Michael Ham/TGB Promotions

 マーティンが405のパンチを放ったのに対し、ペレスは222。スピードにも差があった。

 会心の勝利を収めたマーティンは、言った。

 「(試合を決めた一発)は、あのラウンドの少し前から狙っていた。左フックで決めたかったが、その距離感を掴み切れていなかった。でも、トレーナーが非常にいいアドバイスをくれ、フィニッシュに繋がったね。

 足を使おう、という作戦だった。全てのステップが、ペレスのダメージに繋がったと思う。トレーナーの指示が良かった。非常にいい気分だよ」

Photo:Sean Michael Ham/TGB Promotions
Photo:Sean Michael Ham/TGB Promotions

 「ペレスは頑丈な選手だね。でも、それしか長所が無い。俺に影響を及ぼすものは何一つ見当たらなかった。この勝利は、大きい。さらに上を目指してやっていくよ」

 フランク・マーティンは、このまま順当に伸びれば世界のベルトを巻けそうだ。倒し屋であり、フットワークを生かしたディフェンスも光るライト級。注目すべき選手である。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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