40kgのダイエットに成功した元全日本チャンピオン
1984年から3年連続でアマチュアボクシングの全日本王者となった佐藤恒雄。現在は港湾関係の会社員として働く傍ら、母校、日本体育大学でコーチを務める。
1962年8月22日生まれの佐藤コーチは現在58歳で、身長180センチ。その彼が今年6月から本格的に体重制限に挑み、およそ40kgの減量に成功した。
今回、5カ月間のダイエット生活を振り返ってもらった。
「毎年、6月に会社の健康診断があるんですよ。バリウムを飲む胃の検査は135kgまでの人しか受けられないんです。機械が壊れちゃうので(笑)。今年、僕は136kgでダメだったんです。いくら現役時代にヘビー級だったと言っても、本格的に体を絞らなければヤバいなと。
去年は134.4kgでギリギリ通ったんですよね。一昨年の秋くらいから、太り過ぎていてこのままじゃマズイとは思っていました。でも、ついつい酒を飲んでしまったり、カップ麺やポテトチップスを食べてしまったり、丼物を大盛で食べたりしていました。
2年程前から、糖尿病と高血圧にもなっていて、医師の友人からは『本気で入院を考えろ』と助言されており、血糖値を下げる薬も飲んでいたんですよ。HbA1cが10.5もありましたから。
胃をチューブで縛る手術なんかもありますが、僕は食事療法を選びました。糖尿病にはとにかく炭水化物が良くない、揚げ物の方がマシだ、と言われましたので、炭水化物、そして糖分を全てカットしました。血圧の薬、糖尿の薬も止め、自力で治すことに決めました。
買い溜めしてあったお菓子は全部捨て、毎日やっていた晩酌も止めました。飲み物は水だけ。食事は野菜中心で、家内にセロリを豚肉で巻くような物を作ってもらいましたね。
そして、ウォーキングを45分から1時間、自分のペースで行う事と、最寄りの銭湯でサウナに入る事を交互にやりました。サウナは15分を5セットとかね。
最初は2km歩くことが精一杯でしたし、夜中に腹がグーグー鳴って、眠れなかったです。必死に飴を舐めて誤魔化したりしましたよ。
人間の体って、10日くらいで胃が小さくなるものです。でも、渇きがキツイです。2カ月ちょっとで20kg減りました。
116kgになってから、壁がありました。サウナで10分を4~5セットやっても、500gしか落ちない、なんてことが続きました。
なので、一日の摂取量を500キロカロリーにして、ナムルばかり食べていた時期もあります。胃が小さくなると、あまり食欲がなくなっていくんです。
11月11日にようやく100kgを切りました。嬉しかったですね。それに血圧が上110、下67になり、HbA1cも5.4まで落ちました。血糖値も180前後だったのが、80前後になりました。
週に1回は自分へのご褒美として、酒を飲んでいい日を作りましたよ。ずっとラーメンが食べたかったので、100kgを切ってから久しぶりに口にしたんです。でも、さほど美味しいと感じませんでした。それに、直ぐに1kg増えてしまったので、サウナに直行ですよ(笑)。
最終的な目標はアマチュアのヘビー級リミットである91kgです。やっぱりこの階級で、全日本王者になりましたからね。ここからは、ゆっくりやります。
136kgだった頃は、歩くのもキツかったですし、靴下を履いたり、お尻を拭くのも大変でした。やっぱり痩せると楽ですよ(笑)。
自分の場合はSNSで減量宣言をして、飲みに誘わないで下さい。餌を与えないで下さい。って書きましたから、周囲が応援してくれました。有言実行はお勧めですね。それから一日に何回も体重計に乗るとモチベーションが保てます。
50歳を過ぎると無理な運動で体重を落とすのは難しいですよね。ですから食べるカロリーを控えてのダイエットがいいと思います。10食べていたのなら9にする。コンビニで食事を買うなら、カップラーメンではなく、サラダセットにする、とかね」
佐藤コーチは結んだ。
「日体大ボクシング部は、東京五輪代表の座を射止めたフェザー級の入江聖奈を筆頭に、いい選手が沢山います。皆、本当に必死で頑張っている。そんな選手たちと向き合うのに、醜い姿じゃイカンと思っていました」
その言葉に指導者としての矜持を見た。