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2021年、熱くなりそうな140パウンド(スーパーライト級)

林壮一ノンフィクションライター
スーパーライト級への転向を仄めかすライト級統一王者ロペスは主役となれるか(写真:ロイター/アフロ)

 10月17日にワシル・ロマチェンコ(32)を下してIBF/WBAスーパー/WBO/WBCフランチャイズ統一ライト級チャンピオンとなった23歳のテオフィモ・ロペス・ジュニア。

 10月31日にサンタ・クルス(32)を6回KOで下してWBA正規タイトルを防衛したジャーボンテイ・デービス(25)。

Photo:Sean Michael Ham/Mayweather Promotions
Photo:Sean Michael Ham/Mayweather Promotions

 ライト級最強を決める一戦として、ロペスvs.デービス戦が実現すればさらに盛り上がりを見せるであろう。

 が、ロペスはデービス戦には興味を示さず、スーパーライト級に上げるようだ。

 統一ライト級王者は冗談交じりに言う。

 「まず、朝、WBA/IBFスーパーライト級チャンピオンのジョシュ・テーラーと戦い、その夜、WBC/WBO王者のホセ・ラミネスとやりたいね」

 

 もはやライト級ではやるべきことが無い、ということか。ロペスは階級を上げ、ロマチェンコ戦以上のビッグマッチを求めている。ターゲットとして名を挙げた29歳の英国人、テーラーの戦績は17戦全勝13KO。ヒスパニック系アメリカンのラミネス(28)が26戦全勝17KO。

 

 ロペスも含めた3名はTOP RANKと契約を結んでいるため、実現は充分可能である。つまり140パウンドと135パウンドの主要ベルトは、今日、TOP RANKの傘下にあるのだ。

 モハメド・アリという稀代のカリスマがリングを去ってから、マイク・タイソンが時の人となるまでの間。ボクシング界は中量級が熱かった。統一ミドル級のマービン・ハグラー、モントリオール五輪の金メダリストからプロ入りしたシュガー・レイ・レナード、ヒットマン(殺し屋)と呼ばれたトーマス・ハーンズ、そして石の拳、ロベルト・デュラン。彼らはリーグ戦のように、それぞれが他の3名と拳を交えた。

 それらはTOP RANKのプロモートするファイトであった。オスカー・デラホーヤ、フロイド・メイウェザー・ジュニアもデビュー以来キャリアのほとんどを同社が手掛けている。マニー・パッキャオもそうだ。

 井上尚弥も売り出していくことを決めたTOP RANK。140パウンドはどんなカードを生んでいくか。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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