メイウェザーが「俺を超える素材」と語った王者が2階級タイトルマッチでKO勝ち
ハローウィンの夜、アラモドームは9024名の観客で埋まった。新型コロナウィルス感染拡大により、今年3月より米国のボクシングイベントは無観客が続いていたが、解禁となって初の世界戦だった。
IBFバンタム級、WBCスーパーバンタム級、WBAフェザー級、WBAスーパーフェザー級と4階級を制したサンタ・クルス(32)は、5階級目を狙っていた。
IBF/WBAスーパーフェザー級、WBAライト級正規と、これまでに3本のベルトを巻いたジャーボンテイ・デービス(25)は、今回、サンタ・クルスが腰に巻いていたWBAスーパーフェザー級タイトルも獲得した。
このファイトはWBAの異なった2階級のベルトが懸けられていたが、WBA正規ライト級タイトルマッチとして開催するべきではなかったか。
ボクシング界としては、自粛明けのビッグマッチでPPVを売るためにも注目を集めたかったのは分かる。契約リミットをスーパーフェザー級としていたが、一つの試合で複数階級のベルトが懸けられるというのは、今尚、不可解だ。
2人のチャンピオンは足跡も実力も折り紙付きでカード自体は非常に魅力的だったが、蓋を開けてみれば、両者にはパンチ力に大きな差があった。サウスポーであるデービスの左ストレート、左アッパーは抜群の破壊力を見せた。
それでもサンタ・クルスは4階級を制した闘志で、4ラウンド以降打ち合いを挑む。
第6ラウンド、ローブローを浴びて動きの鈍ったスーパーフェザー級王者の顎に、デービスの代名詞とも呼べる左アッパーがヒット。WBAスーパーフェザー級チャンピオンの死角から放たれたこの一発が、決定打となった。サンタ・クルスはキャンバスに沈んだ。
デービスは振り返る。
「あのアッパーが今日の試合のカギとなった訳じゃない。レオの動きに適応したワンパンチだよ。彼は背が高く、前傾姿勢で前に出てきた。だから俺も下がらずに応戦し、ジャブを突いて強打を打ち込めるチャンスを作ったんだ。コーナーに追い込めたから、レオは逃げ場が無くなったよね」
「レオは素晴らしい選手。物凄くトレーニングを積んでいたことが分かった。ほんの少し自分が優っていたってこと。両方のベルトを守っていきたい。まぁ、どちらの階級にするかはチームとも相談する」
勝者デービスはそう語ったが、2つの階級の世界タイトルを保持することなどあり得ない。
「俺は最高の試合をお届けした。今やPPVのスターだ」
24戦全勝23KOとなったデービスは結んだ。今後もメイウェザーのプロモートでキャリアを重ねていくようだ。元パウンド・フォー・パウンドは「俺を超える才能」とデービスを絶賛する。
一方のサンタ・クルスは「勝てなかったが、私の体はOKです」と話し、検査のため病院に直行した。彼の戦績は37勝(19KO)2敗1分けとなった。試合を左右したローブローが不運だった。
1試合で2階級の世界タイトルが懸かるのは、1988年11月7日のシュガー・レイ・レナードvs.ドニー・ラロンデ戦、2014年9月13日のフロイド・メイウェザー・ジュニアvs.マルコス・マイダナ戦に続くものだ。
ボクシング界にとって決していいことではない、と私は感じる。