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WBAスーパーフェザー級タイトル挑戦者決定戦に勝利した16戦全勝11KOの新鋭

林壮一ノンフィクションライター
Photo:Amanda Westcott/SHOWTIME

 現地時間10月24日、デビュー以来無敗のザビエル・マルティネスが3-0(115-111、114-112、114-112)の判定でクラウディオ・マレロを下し、WBAスーパーフェザー級タイトル挑戦権を得た。

 

Photo:Amanda Westcott/SHOWTIME
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 勝者、マルティネスは第8ラウンドに2度ダウンを喫した。マレロはここで仕留め切れなかったことが悔やまれる。

 6試合連続のKO勝ちをマークしていたマルティネスは振り返る。

 「全ての勝利が会心という訳ではありませんし、KO勝ちでもない。今日のように厳しい状況に置かれることだってあります。マレロが簡単な相手だとは思っていませんでした。これも経験ですね。肥やしにしなければ。今回は私の粘り強さを示せたと思います」

Photo:Amanda Westcott/SHOWTIME
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 前後にステップを踏むマルティネスは、手数で圧倒したものの、自身が放った左フックでマレロの右目が塞がるとペースダウンした。逆にマレロは息を吹き返す。

Photo:Amanda Westcott/SHOWTIME
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 第8ラウンド。マレロが力を込めた右でマルティネスを沈める。2度目に奪ったダウンもマレロの右フックだった。

 が、マルティネスは何とか凌ぐ。

 「正直に言えば、ダウンした際に恐れを感じました。でも、ここで終われない! という声が自分の内面から聞こえたんです。私は敗北を受け入れられなかった。ダウンというのは、けっしてハッピーじゃない。マレロは本当にタフでした」

 ピンチを脱したマルティネスは自身の戦績を16戦全勝11KOとし、世界タイトル挑戦への切符を手にした。

Photo:Amanda Westcott/SHOWTIME
Photo:Amanda Westcott/SHOWTIME

 一方のKOドミニカ人サウスポー、マレロは言った。

 「納得できない。ジャッジは一体、何を見ていたんだ。絶対に俺が勝ったよ。もし、リターンマッチになっても、今日と同じように賢く戦うだろうよ。そしてプレッシャーを掛けていく。ヤツのいいパンチももらったが、俺の回復は速かっただろう。こんな判定、信じられるか」

 マレロは24勝17KO5敗となった。

Photo:Amanda Westcott/SHOWTIME
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 マルティネスは結んだ。

 「勝つ為に懸命に汗を流しました。リングに這いつくばりながらも勝利を手にした私の姿を記憶してほしいです。私は自分を誇りに思います」

 マルティネスは世界タイトルを手に出来るか? マレロも次のファイトで何を見せるだろうか。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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