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ブラジルを去り、メジャーリーグサッカー(MLS)に飛び込んだコロンビア代表FW

林壮一ノンフィクションライター
ロシアW杯南米予選でプレーするジミ・チャラ(写真:ロイター/アフロ)

 イミー・チャラ(28)。

Picture credit: Portland Timbers
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 残念ながらロシアW杯のメンバーからは漏れてしまったが、昨年3月22日に日産スタジアムで催されたキリンチャレンジカップでは、コロンビア代表の一員として来日した。もっとも、プレー時間はゼロに終わっている。

 日本戦の4日後に行われた韓国との一戦では、背番号20を付けて82分からピッチに入った。当時、チャラはアトレチコ・ミネイロに所属し、ブラジルで研鑽を積んでいた。

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 今日までの代表キャップは10。今季は米国メジャーリーグサッカー(MLS)、ポートランド・ティンバーズの背番号23である。

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 3月1日の開幕戦で、ティンバーズは敗れた。立ち上がりから前半26分までは完全にペースを握り、幾度となくミネソタ・ユナイティッドFCのゴールを脅かしたが、決定力が足りず、0-0でハーフタイムを迎える。

 後半は疲労から足が止まり、カウンターを食らって失点。一度はPKで追いついたが、立て続けにネットを揺らされ、1-3で黒星を喫した。

 

 68分に交代を告げられたが、イミ―・チャラのチャンスメイク、前からの献身的なディフェンスはティンバーズにとって明るい材料に見えた。加入したばかりなので、よりチームにフィットすれば、彼は輝きを増すであろう。

Picture credit: Portland Timbers
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 身長170センチとされているが、ドレッシングルームで向かい合った彼は、165センチくらいであった。ティンバーズ広報部長の通訳で、コメントを頂戴した。

 まずは、試合を振り返ってもらう。

 「悔しいですね‥‥。好機を生かせず…得点できず、ゲームを支配することができませんでした。でも、まだ1試合が終わっただけ。長いシーズンが始まったところですから、もっといい内容で戦えるようにチームを作っていきたいですね」

 チャラは実直な男だと感じた。次に、MLSはブラジルと比較して何が違うか? と質問した。

 「アメリカのサッカーにはスピードがあります。とにかく速い。そして、激しい。ブラジルはもっとゆっくりとボールを持って、スペースを巧く使います。

 こういう速いサッカーを体験することは、選手としての僕を大きく成長させてくれるように感じます。もっともっと、ガンガン当たっていかねばな、とも思います」

Picture credit: Portland Timbers
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 ティンバーズの中盤の底ではチャラの5歳上の実兄、ディエゴがハンドルを握る。

 「兄と共に戦えるのは心強いですね。彼は今シーズンがアメリカでの10年目ですから、MLSのことを良くわかっています。アメリカに来る前から聞いていましたが、ティンバーズのファンの熱い応援は本当にビックリです。彼らに勝利を届けられるように、精一杯努力していきますよ」

撮影:著者
撮影:著者

 確かにティンバーズのゴール裏は、浦和レッズのサポーターに優るとも劣らない熱気である。この快速コロンビア代表FWがどんな爪痕をポートランド、そしてアメリカ合衆国に残すのか、見届けたい。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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