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WBSSバンタム級決勝、井上尚弥vs.ノニト・ドネア戦は足元にも注目だ!

林壮一ノンフィクションライター
撮影:山口裕朗 5日の記者会見にて

 2018年ロシアW杯決勝、フランスvs.クロアチア戦はNIKE社にとって大きなコマーシャルとなった。両チームのユニフォームが同社の製品だったからだ。その4年前、ブラジルW杯ファイナル、ドイツvs.アルゼンチン戦では、両チーム共にadidas社のユニフォームを着ていた。

 さて、ついに明日ゴングが鳴るWBSSバンタム級の決勝で拳を交える両者は、日本が誇るミズノ社のリングシューズ、トランクスを身にまとって戦う。

撮影:山口裕朗
撮影:山口裕朗

 井上はデビュー時から、ドネアはここ3年ほどミズノを愛用している。今回の来日以来、ドネアの足元、及びチームスタッフのいで立ちは、ミズノのオレンジが光る。

撮影:山口裕朗
撮影:山口裕朗

 本コーナーで過去にも取り上げたが、ミズノを愛した最初の世界的ファイターは、WBCウエルター級チャンプのミルトン・マクローリーである。KRONKジムで汗を流していたマクローリーのシューズに目を留めた名伯楽、エマニュエル・スチュワードがその品質の高さを認め、トーマス・ハーンズやレノックス・ルイスにミズノを勧める。

 

トーマス・ヒットマン・ハーンズは28.5cm、白×ゴールドを好んだ 撮影:著者
トーマス・ヒットマン・ハーンズは28.5cm、白×ゴールドを好んだ 撮影:著者

 その前後も、ジョージ・フォアマン、テリー&オーリンのノリス兄弟、マルコ・アントニオ・バレラ、エリック・モラレス、リッキー・ハットンらがミズノを選んだ。

 

ハーンズの天敵であり、3階級を制したアイラン・バークレーは赤×白を履いた 撮影:著者
ハーンズの天敵であり、3階級を制したアイラン・バークレーは赤×白を履いた 撮影:著者

 「ミズノがベスト。セカンドベストはない」

 名王者たちは口々にそう語った。

 具志堅用高と一緒にずっとミズノで現役生活を送った「200年に一人の天才ボクサー」亀田昭雄も言う。

 「軽くて、踏み込みの時にグッと力を入れることが出来る。本当にいいシューズです。敢えて述べるなら、井上もドネアも同じ品質のシューズを履く訳だから、条件は同じ。あとはファイターとしての技量で勝敗がつきますね」

撮影:山口裕朗
撮影:山口裕朗

 亀田に明日の試合を予想してもらった。

 「井上は短期決戦にもっていくべきです。百戦錬磨のドネアはラウンドが進めば進むほど、経験を生かして井上を苦しめるでしょう。したたかにホールディングなどをする可能性もある。のらりくらりとドネアにペースを握られたら、流石の井上でも苦戦するかもしれない。

 5階級制覇し、36歳ながら決勝まで登って来たドネアが底力を見せるような気がしますね。僕は50/50としておきます。井上にとっては、最強の相手になるでしょう。まぁ、井上にはまだまだ輝かしい未来がありますがね」 

 勝者としてミズノを脱ぐのは、どちらのチャンピオンか? 熱いファイトを期待したい。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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