Yahoo!ニュース

チャンプ田口良一が語るNBAの魅力

林壮一ノンフィクションライター
レブロンが出場しない今季のPLAYOFFはStephen Curryの独壇場か(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 3月16日に田中恒成の持つWBOフライ級タイトルに挑んだ田口良一。激しい打ち合いを終え、現在は休養中だ。田口には「ボクシングの世界チャンピオン以上になりたい職業」があった。何を隠そう、NBAプレイヤーである。

 小学時代に2年、そして中学3年間バスケットボールに打ち込んだ田口は、自然とNBAファンになっていった。今季についても、こう語る。

 「レブロン・ジェームスが属するLAレイカースが敗退してしまった今、やはりゴールデンステイト・ウォーリアーズが勝ちそうですね。ジェームズ・ハーデンが牽引するヒューストン・ロケッツも勢いがあって面白い存在ですが」

 

レブロンTシャツを手にする田口 撮影:著者
レブロンTシャツを手にする田口 撮影:著者

 「現役選手で注目しているのは、ラッセル・ウエストブルック(オクラホマシティ・サンダー)です。得点、アシスト、リバウンドと何でも出来るところが好きですね!彼はシーズントリプルダブルを3シーズン連続で達成出来そうで、自分がNBAにハマり始めた当初からすれば、考えられないですよ。

 僕は少年時代から、高いスタッツの選手に憧れる傾向がありました。レブロンや、グラント・ヒル(殿堂入り選手)ジェイソン・キッド(NBA歴代通算アシスト2位  殿堂入り選手)などは、試合結果のスタッツを見て心が躍っていました」

 そのなかでも好きだったのはいぶし銀のパワーフォワードだ。

 「一番好きだった選手はケビン・ガーネットです。ミネソタ・ティンバーウルブズ時代の孤軍奮闘も好きでしたが、2007年にボストンセルティックス優勝の立役者となった時が忘れられません。

 2番目はアレン・アイバーソンです。MVPを取った時を筆頭に凄く好きでした。2001年、シャック(シャキール・オニール)とコビー・ブライアントを擁するレイカースに勝って優勝するんじゃないかと思わせましたよね。惜しくも敗れてしまいましたが、小さくても気持ちで戦っていくスタイルがずっと心にあります。ガーネットとアイバーソンがウルブスで同じチームになる噂を聞いた頃は、凄く興奮していました。今でもあの時同じチームになってたらどうなってたんだろう思わずにはいられません。自分がおじいちゃんになってもずっと見続けているだろうNBAはやっぱり最高ですね!」

 田口は先の世界戦で、試合終了後、相手に体を預けるようによろめいた。「もう体が動かない」ギリギリのところまで戦ったのだ。その彼が口にした「気持ちで戦っていくスタイル」という言葉が胸に響いた。

 アイバーソンに心を焦がしていた少年は「気持ちで戦うスタイル」を継承し、世界チャンプにまで上ったのだ。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

林壮一の最近の記事