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3.16 WBOフライ級タイトルマッチまで1カ月弱 挑戦者・田口良一に注目だ!

林壮一ノンフィクションライター
WBAライトフライ級王座を7度防衛した田口はフライ級の挑戦者としてリングに上がる(写真:アフロスポーツ)

 前WBA/IBFライトフライ級チャンピオンの田口良一が、WBOフライ級王者である田中恒成に挑む。その世界戦まで1カ月を切った。

 「調子はその日、その日によって違いますが、強くなっている感じがありますね。自信はありますよ」

 数日前、田口はそう話した。

撮影:著者
撮影:著者

 今回のカムバック戦でコンビを組む、元日本フェザー級チャンピオンの梅津宏治トレーナーも言う。

 「課題として来たバランスが、かなり改善されて来ました。重心も低くなりましたね。今、ミットで田口のパンチを受けていても、ズシリと重い。ナックルの芯で捉えています。あとは、田中の動きに合わせてどういうコンビネーションを出していくか、そして風邪などひかないように、コンディション整えることがテーマです」

 確かに1か月前、2カ月前と比べて田口の動きは見違えるほどシャープになった。田口と梅津は、繰り返し、修正を重ねて来た。スパーリングのない日は、少なくとも10ラウンドのミット打ちで、崩れてしまったバランスを正した。

https://news.yahoo.co.jp/byline/soichihayashisr/20181224-00107467/

https://news.yahoo.co.jp/byline/soichihayashisr/20190123-00111093/

撮影:著者
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 「最初は意識して動いていましたが、身体にしみ込んだ感覚があります」(田口)

 世界のベルトを巻いた男が、基礎からもう一度ボクシングを建て直すーー。成功体験を忘れられないタイプの男なら、けっして続けられなかった作業だ。その地道なトレーニングにはベルトを失った田口の悔しさと、再び世界タイトルを手にしてみせる、という決意が伝わって来る。

 練習中、けっして切れない田口の集中力。9度、世界戦の舞台に上がった経験を武器に、彼らしい闘志溢れるファイトを期待したい。

 

 

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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