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ついに本日公開! 『ロッキー』シリーズの続編『クリード 炎の宿敵』

林壮一ノンフィクションライター
シルベスタ・スタローンは「ROCKY」で人生を変えた(写真:Shutterstock/アフロ)
Photo: C 2018 METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC. AND WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC
Photo: C 2018 METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC. AND WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC

 ロッキー・バルボアがロードワークの際に駆け上がっていたフィラデルフィア美術館の階段は今日、観光名所となっている。

階段から見下ろすフィラデルフィアの街並み 撮影:著者
階段から見下ろすフィラデルフィアの街並み 撮影:著者

 その階段脇には、シリーズ3作目に登場したロッキーの銅像が佇んでいる。

撮影:著者
撮影:著者

 20年ほど前のことになるが、ロッキー像を見詰めながら、実在の元ヘビー級チャンプ、ティム・ウィザスプーンは言った。

 「いいよな、作り話は気楽で。ボクサーの本当の哀しみや苦しみなんて何も伝わって来ないぜ…」

 いつも陽気で笑顔を絶やさず、子煩悩な男の寂し気な表情に息を呑んだ。この時、私は「彼の話をどうしても書かねば」と思ったものだ(10年を費やし、仕上げたのが『マイノリティーの拳』である)。ティムはファイトマネーのおよそ90%を悪徳プロモーターに搾取され続けた。法廷闘争に踏み切り、そこそこの和解金を得るが蕩尽してしまい、子供を養うために45歳までリングに上がった。引退後はトレーナーとして活動中だ。

2010年のティム 撮影:著者
2010年のティム 撮影:著者

 息子であるティム・ウィザスプーン・ジュニアもプロボクサーとなった。10勝5敗1分けで引退し、現在はフィラデルフィア市内でボクシング&フィットネスジムを経営している。

2010年、現役選手だったティム・ジュニア 撮影:著者
2010年、現役選手だったティム・ジュニア 撮影:著者

 数日前に61歳になったばかりの父親へ電話すると、元気そうな声だった。「CREED IIは見ていない」そうだ。1年の4分の一くらいイングランドに滞在し、トレーナーとして収入を得ているよ、と笑った。

 

 ジュニアも語った。

 「映画ではあるけれど『CREED II』も子供の代になったね。僕ももう34歳。2018年4月27日にジムをオープンして、必死にやっているところ。子育ての大変さも理解している。本当に父には感謝しかないね」

 『CREED II(邦題:クリード 炎の宿敵)』は、家族愛をテーマとしている。スクリーンを目にしながら、ウィザスプーン親子の姿が何度も蘇った。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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