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元日本代表主将の嘆き「こんなに期待できないサムライブルーは無い!」

林壮一ノンフィクションライター
直近の2試合で精彩を欠いた日本代表(写真:Shutterstock/アフロ)

 元日本代表GKの田口光久氏。秋田市立秋田商業高校卒業後、浦和レッズの前身、三菱重工サッカー部に入団。3年目にレギュラーとなり、21歳で日本代表に選出された。国際Aマッチ59試合に出場。ロス五輪アジア予選時は日本代表の主将を務めた。

 その田口氏に、ロシアW杯を直前に控えたサムライブルーについて訊ねた。

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撮影:著者

 私は再三、ハリルホジッチ解任を唱えて来ました。

https://news.yahoo.co.jp/byline/soichihayashisr/20170912-00075458/

https://news.yahoo.co.jp/byline/soichihayashisr/20161116-00064463/

 

 マリ戦、ウクライナ戦を目にして、もはや絶望的な気持ちですね。6大会連続でワールドカップ出場とはいえ、こんなに期待できない代表チームは無いですよ。だからこそ、国民の盛り上がりも欠けてしまっています。

 槙野智章がウクライナ戦でゴールしたと言っても、彼は守備の選手です。後ろの選手は失点ゼロでナンボでしょう。槙野はCBで出てもあまりいい結果を出せていない。左SBの方がいいと思いますね。

 ハリルは「縦に速く」と前線にボールを放り込ませていますが、日本のサッカーというのは、ある程度、中盤を組み立ててきたんですよ。何がやりたいのか、さっぱり分かりません。

 だいたい、この時期にあれだけメンバーをいじって、セレクションをやっていること自体おかしいです。最近、私は、腹も立たなくなって来ました。

 GKキャンプをやったこともありましたが、マスコミ向けの一時凌ぎ的なアピールでした。GKというのは、一番後ろからチームを叱咤激励するものでしょう。でも、今回の川島永嗣には、そんなパフォーマンスが見られなかった。川口能活なんかよく声を出していましたよね。

 私の経験から述べますが、川島が声を出さないのはチームメイトを傷付け、チームが壊れることを慮っているからです。味方のミスに対する励ましや喝が少ないし、選手同士で変に気を遣い過ぎています。最悪のリズムだと思いますよ。

「自分は、こういうプレーがしたいから、お前はこう動いてくれ」と互いに主張し合う光景がほとんど無い。今、代表はそれが出来ない状況なのでしょう。

 私が日本代表だった頃は、加藤久や木村和司、金田喜稔なんかで意見をぶつけ合っていたものですよ。

 本当にハリルの采配の意図が見えない状態でズルズル来てしまいましたね。今更、監督を代える訳にもいかず、哀しいかな、ロシアではハリルが指揮を取るでしょう。

 ハリルの年棒が2億5千万なら、日本サッカー協会は5億出してでも、もっといい監督を探してくるべきでした。10億は高過ぎるでしょうが、世界にネットワークを広げ、コミュニケーションを取って、もっと人間的にもリーダーに相応しい人物を選べばよかったんです。

 日本の組織は、クビを切るということに慣れていませんよね。そういう部分でも「日本人の弱さ」が出てしまっています。

 現実的に、日本代表はロシアW杯で1勝もできないでしょう。その責任はハリルにあるというより、彼を監督に選び、ロシアに送り込む協会にあると私は感じますね。

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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