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アルゼンチンコーチが語る「日本サッカーの明日のために」

林壮一ノンフィクションライター
体験レッスンに参加した小学生たちは「楽しい!」と口を揃えた

浦和レッズで現役を引退し、埼玉栄高校で10年間指揮をとったセルヒオ・エスクデロが、小学生を鍛え始めた。「今回のワールドカップの日本代表にはがっかりだった」と語る彼のモットーとは。

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闘える選手を育てることが肝心です。残念ながら、日本の組織では変えられないと思います。限界ですよ。アルゼンチンには、小中高校にサッカー部は無いんです。全部、クラブチーム。僕は埼玉栄高校で10年間指導しましたけども、月謝が高くても選ぶ学校があって、「ここでサッカーやりたい」ってお金を払えば、3年間サッカー出来るんですね。 

僕ら国は、小学6年からチームに登録して1年間で結果を出さなきゃクビです。真剣にやるなら、全部、クラブにするべき。毎年テストテストテストで絞らなきゃダメ。残る人は本当に頑張る子だけですよ。

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教え方はアルゼンチンスタイルでやります。僕は4人兄弟。兄弟の子供たちは11人いる。女2人、男は9人。9人のうち、4人がプロサッカー選手になりました。FCソウルのセンターフォワード、僕の息子です。日本の子には、まず、闘う姿勢、ハートを教えます。

闘いを作らなきゃダメなんです。コスタリカもメキシコも小さいけれど倒れないでしょう。倒れているようじゃ勝てない。蹴られても続けて、得点することを考えないと。シュミレーションじゃないんです。で、点を取る事。1対1、2対2、ストリートサッカー-----ポートレイロって言うんだけど、それが必要です。子供同士のミニゲーム。判定が間違ってたら喧嘩になります。でもそれで強くなるのね。僕らは小さい時からやっています。フリーキック速く、とかね。そういうアルゼンチンサッカーを教えたいですね。

ネイマールも倒れなくなったでしょう。上手いし速いしね。国歌で泣いてたよね。そのくらいの気持ちが日本人にもほしい。国で闘えてるのよ。日本代表のゲーム、朝の10時KICK OFFでしたね。僕、奥さんを大宮駅まで送ったら車が混んでたの。「今、日本代表の試合なのに何故? この人たち試合見れないじゃない」と思った。公園では若者が座りこんでゲームしてる。アルゼンチンは試合の日は休日になっちゃう。仕事やらなくても大丈夫。そういう国じゃないと世界一にはなれないよ。文化も考えなくちゃね。

是非、日本の子、闘える選手に育てたい。お子さんにやる気があったら、連絡ください。U10からレッスンします。待っていますよ! E-Mail asai@rokufc.jp

ノンフィクションライター

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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