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眞島秀和インタビュー「もう一度写真集を出そうと思ったのは地元・米沢が好きだから」

鎮目博道テレビプロデューサー・演出・ライター。
『眞島秀和PHOTO BOOK Home』より/撮影:sai

読み終わってとても不思議な気持ちになる写真集だった。

俳優・眞島秀和さんがこの度出版された写真集「Home」(株式会社トゥーヴァージンズ刊 定価2,640円)は、眞島さんが故郷・山形県米沢市のさまざまな場所を巡り、撮影された写真集なのだが、米沢に縁もゆかりもない私が読んでもなぜか「懐かしい故郷に帰ってきた」気持ちになる。

ホームタウンである米沢を愛してやまないという眞島さんに、なぜ今回この写真集を出そうと思ったのか、お話をうかがうことができた。

「そばの店 ひらま」でラーメンを食べる眞島秀和さん 『眞島秀和PHOTO BOOK Home』より/撮影:sai
「そばの店 ひらま」でラーメンを食べる眞島秀和さん 『眞島秀和PHOTO BOOK Home』より/撮影:sai

Q眞島さんはどんなときに、米沢を思い出されることが多いですか?

眞島:そうですね、餃子とかラーメンとかをこっちで食べているときに「地元のあれがまた食べたいな」と思い出したりとか、あと、地方ロケでちょっと米沢の盆地の風景に似たような景色のところに行くと、何かこう「親しみが湧くな」なんて思ったりしますね。

Qそうですよね。山形と言えば、ラーメン、中華文化、素晴らしいですもんね。

眞島:そうなんですよ。米沢は特にラーメンがみんな大好きなんで。

松川の河川敷にて 『眞島秀和PHOTO BOOK Home』より/撮影:sai
松川の河川敷にて 『眞島秀和PHOTO BOOK Home』より/撮影:sai

Q久々に懐かしい場所を巡られて、昔、子どものころ見られていたものと変わっていないと感じられたものはありますか?

眞島:例えば最上川の上流になるんですけれども、米沢では松川と呼ばれている河川敷なんかはもう全然変わっていないなという感じがして。高校生のころはよくそこで放課後に時間をつぶしたりもしていたので、懐かしさもあり、その河川敷から見える米沢の山々の景色とか、全く変わらないんだなといううれしさもありましたね。

Q逆に、変わっていたものはありますか?

眞島:写真集には図書館のあたりとかも載っているんですけれども、そこは昔はちょっとしたアーケードがあったんですが、それがもう老朽化もあって撤去されていたりしていますね。子どものころは、そのあたりは日曜日になるとたくさんの人で溢れていたことなんかを思い出したりしました。

市立米沢図書館 『眞島秀和PHOTO BOOK Home』より/撮影:sai
市立米沢図書館 『眞島秀和PHOTO BOOK Home』より/撮影:sai

Qなんか商店街は、日本全国どこもちょっと寂しくなっていますよね。

眞島:そうですね。時代の流れなんですかね。大型のショッピングモールとかできて、人の流れも変わっていっているようですよね。

でも逆に「新しくこんな素敵なところができていたんだな」という自分が知らなかった場所もたくさんあったので、こうやってまちはどんどん変わっていくものなんだろうなと実感しました。

「nitorito」にて 『眞島秀和PHOTO BOOK Home』より/撮影:sai
「nitorito」にて 『眞島秀和PHOTO BOOK Home』より/撮影:sai

Q「新しくできた素敵なところ」とは、どんなところですか。

眞島:ロケーションが素晴らしい青田風さんというカフェや、Side Slide Coffeeさんというコーヒーショップとかですかね。僕の地元でもこういうすてきなお店があるんだなという発見ですよね。あと、今回nitoritoさんという「米沢織」のメーカーさんのところにも行かせていただきましたけれども、何かそこも、今の時代に合った新しいかたちで米沢織を発信されていて新しい発見と感動がありましたね。

カフェ「青田風」にて 『眞島秀和PHOTO BOOK Home』より/撮影:sai
カフェ「青田風」にて 『眞島秀和PHOTO BOOK Home』より/撮影:sai

Q今回の写真集はとても素晴らしい取り組みだと思うんですけれども、この取り組みはどういうところで思いつかれたというか、やってみようと思われたんですか。

眞島:2019年に、『MH』という自分の写真集を出版したのですが、そのときに「写真集はなんか照れるな」と思って、自分の人生の中でこういう機会はもうないんだろうなと思っていたのですが、そんな時に「地元・米沢の案内本というかたちで出してみるのはいかがですか?」という話をいただきました。

「地元のまちを紹介できて、地元に何か、自分が育ててもらった恩返しができるなら」と、そういうところからスタートしています。

Q写真集を作られてみて、改めて米沢が他のまちと比べていいところはここだろうなと思うのはどういうところですか?

眞島:やっぱり食べ物がおいしいとか、春夏秋冬の季節ごとの景色がきれいだとか、そういうシンプルなことになりますね。

僕はそこで育っているので、もう無条件にまち自体がすごく好きということがありますが、仕事モードをオフにして本当にのんびりできる場所というところでしょうか。

母校・山形県立米沢興譲館高校にて 『眞島秀和PHOTO BOOK Home』より/撮影:sai
母校・山形県立米沢興譲館高校にて 『眞島秀和PHOTO BOOK Home』より/撮影:sai

Qあの高校の写真は良かったですね。卒業写真と現在を並べられている写真。

眞島:今回のフォトブックのデザイナーが我妻晃司といって、部活も一緒にやっていた、高校生のころからの同級生なんですよ。彼がデザイナーとしてこの本に関わっているならではのことだと思います。

だから楽しかったですね。2人で米沢に仕事として来ているのがすごく不思議な感覚になりましたね。お互いの記憶をすり合わせて「ここはああだったんじゃないか」とか、「ここはこんなんだったよね」という話をしながら撮影していたので。

やっぱり好きな地元を紹介できるというのはいいことですよね。

Q写真集をご覧になって「よし、米沢へ行ってみよう」と思って、初めて米沢に行く人がいたら、どんなことをしてもらいたいですか。

眞島:米沢へ初めて行くという方には、この本で紹介しているお店に行ってもらえたらうれしいですし、この本で紹介しきれないぐらい米沢には温泉もたくさんあるので、温泉にもぜひ入ってほしいです。おいしい米沢牛を食べていただいて。地酒もたくさんあるので、日本酒も楽しんでいただけたらなと思いますね。

「白布温泉」にて 『眞島秀和PHOTO BOOK Home』より/撮影:sai
「白布温泉」にて 『眞島秀和PHOTO BOOK Home』より/撮影:sai

Qいろいろ楽しめる要素が満載ですね。

眞島:そうですね。本当にのんびりしに行ってほしいですね。

Qこれから米沢にどんな方向に変わっていってほしいですか。

眞島:今回の撮影でお邪魔したコーヒーショップをやっている方とかもそうですけれども、若い方に、今まで米沢になかったような新しい挑戦をどんどんしていってもらえたら、まちとしても盛り上がるのかなと思いますね。

米沢でもクラフトビールを作っている若い経営者の方が出てきていたりとか、今までいなかったようなそういう人材がちょっとずつ育ってきているというような印象があるので。

代々家業としてやっているところも米沢は多くて、今、ちょうど僕らの世代が後を継いで社長になっていたり、30代後半の方が新たな挑戦をしているとか、そういった世代交代が進んできてはいるのかなというのは感じますね。

Qけっこう地元に残られている方が多いという感じなんですね。

眞島:多いと思いますよ。いったん東京に出て来ても、家業を継ぐために米沢に戻るという人は多いですね。米沢の人間は、何だかんだいって米沢市というまちが好きですからね。

居心地がいいんですかね。

写真集「Home」
写真集「Home」

Q最後にこの記事を読んでくださる皆さんに、米沢のアピールを改めてしていただいてもいいですか。

眞島:はい。このフォトブック『Home』でも紹介していますが、餃子屋さんだったり、独特の細いちぢれ麺が特徴の米沢ラーメンのお店がたくさんありますので、本を手に米沢に行っていただいてもいいですし、この本をきっかけに米沢に興味を持ってもらい、ちょっと行ってみようかな〜とかのきっかけになればと思っています。本当に気軽に手に取って見てほしいですね。

『眞島秀和PHOTO BOOK Home』より/撮影:sai
『眞島秀和PHOTO BOOK Home』より/撮影:sai

<プロフィール>

眞島秀和 Hidekazu Mashima

'76・11・13山形県米沢市生まれ。蠍座。0型。

99年に李相日監督の映画『青~chong~』でデビュー。

その後ドラマ「海峡」('07年)「なぜ君は絶望と闘えたのか」('10年)、「おっさんずラブ」('18年)、「サウナーマン~汗か涙かわからない~」「坂の途中の家」「サギデカ」('19年)、「麒麟がくる」('20年)、「居酒屋新幹線」('21年)、映画「愚行録」('17年)、

「ある男」('22年公開)、「破壊」('22年7月公開)など数々の話題作に出演。

10月には舞台『クランク・イン』(演出:岩松了)に出演する。

テレビプロデューサー・演出・ライター。

92年テレビ朝日入社。社会部記者として阪神大震災やオウム真理教を取材した後、スーパーJチャンネル、スーパーモーニング、報道ステーションなどのディレクターを経てプロデューサーに。中国・朝鮮半島やアメリカ同時多発テロなどを取材。またABEMAのサービス立ち上げに参画。「AbemaPrime」「Wの悲喜劇」などの番組を企画・プロデュース。2019年8月に独立し、テレビ・動画制作のみならず、多メディアで活動。公共コミュニケーション学会会員として地域メディアについて学び、顔ハメパネルをライフワークとして研究。近著に『腐ったテレビに誰がした? 「中の人」による検証と考察』(光文社)

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