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「ファミマのボイコットも」学生団体が憤り―伊藤忠側の大暴言「(虐殺への加担)恥ずかしくない」#ガザ

志葉玲フリージャーナリスト(環境、人権、戦争と平和)
学生・若者団体が行った記者会見 筆者撮影

 昨年10月から続くイスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの猛攻撃。現地住民の犠牲は増える一方で、本稿執筆時点で、約2万4000人、その大部分が女性や子ども等の非戦闘員です。もはや、イスラエルのガザ攻撃は、ジェノサイド(民族等の全部或いはその一部のそれ自体を滅ぼす目的で行われる非人道行為)であると国際的にも批判が高まっています。

 そうした中、そのガザ攻撃に深く関わるイスラエルの軍事企業エルビット・システムズと伊藤忠商事等の日本企業との関係が物議を醸しています。この件で、今月15日、市民団体が会見を開き、日本企業に対し、エルビット・システムズとの関係を解消するよう、求めました。

*本記事は、theLetter に掲載した記事に若干の加筆し転載したものです。

https://reishiva.theletter.jp

〇イスラエル"最凶"軍事企業エルビット・システムズ

 エルビット・システムズは、イスラエルの軍事企業の中でも最大手で、同国陸軍の装備及び、空軍のドローン(無人攻撃機)の8割以上を供給。昨年10月以降、24時間体制で工場を稼働させるなど、ガザ攻撃にも深く関わっています(関連記事)。

 エルビット・システムズの製品を含むイスラエル製ドローンは、今回のみならず、過去にもガザでの民間人殺害に使用されてきました。

写真の少年は、停戦中に外で遊んでいたところ、イスラエルのドローンによる対人ミサイル攻撃を受け、全身に大やけどを負った。一緒にいた友人達は死亡したという。2014年7月パレスチナ自治区ガザにて筆者撮影
写真の少年は、停戦中に外で遊んでいたところ、イスラエルのドローンによる対人ミサイル攻撃を受け、全身に大やけどを負った。一緒にいた友人達は死亡したという。2014年7月パレスチナ自治区ガザにて筆者撮影

〇イスラエル大使立ち会いの下で協力関係を約束

 このエルビット・システムズと相互協力を促進するための戦略的協力覚書(MOU)を昨年3月、締結したのが、伊藤忠アビエーション(伊藤忠商事の100%子会社)と日本エヤークラフトサプライ(NAS)です。本件をスクープした毎日新聞の記事によると、MOU締結は、千葉県の幕張メッセで開催された武器見本市「DSEIジャパン2023」で行われ、イスラエル大使の立ち会いの下、各社の担当者はシャンパンで乾杯したそうです(関連記事)。

 これに対し、複数の市民団体による共同キャンペーン「STOP大軍拡アクション」や「〈パレスチナ〉を生きる人々を想う学生若者有志の会」(以下、「有志の会」)は、伊藤忠アビエーション日本エヤークラフトサプライに対し「"死の商人"エルビット・システムズとの契約を破棄して下さい!」として、両社への抗議活動を行ってきました。

 また上記の2社に対し、「有志の会」は、エルビット・システムズとの関係を断つよう、署名活動を開始。同会は今月15日に、衆議院議員会館(東京都千代田区)で会見を開き、昨年12月21日の署名開始から、今月15日の間に、約2万5000筆もの署名が集まったことを報告しました。

 会見では、「有志の会」の皆本夏樹さんが、伊藤忠とNASに署名を提出しに行ったことを報告。NASは対面で受け取ったものの、伊藤忠は「セキュリティ上の理由」から対面での署名の受け取りを拒否したとのことでした。

〇「(虐殺への加担は)恥ずかしくない」と伊藤忠担当者

 会見で発言した杉原浩司さん(武器取引反対ネットワーク/STOP大軍拡アクション)は、これまで幾度も伊藤忠の本社前で抗議を行った中で、ガザ攻撃に伊藤忠は加担しているのではないかと問いただしたそうですが、これに対し伊藤忠の担当者は「(虐殺への加担は)恥ずかしくなんかないよ」と言い放ったのだそうです。

 なお、筆者は伊藤忠とNAS両社に問い合わせ、2万5000筆以上の署名をどう受け止めるのか、一般市民を大勢殺しているイスラエルのガザ攻撃に対しどのような見解を持っているのか、質問しましたが、NAS側は「お答えできない」と回答を拒否。伊藤忠も期限までに回答してきませんでした。

 会見では、今野泰三・中京大学教授が国際的に広がるイスラエルに対する「不買」「投資引き上げ」「経済制裁」を行うBDS運動について、無印良品がイスラエル進出を取りやめ、最近では独スポーツ用品大手のプーマがイスラエル・サッカー協会のスポンサー撤退を決定したと解説。「エルビット・システムズは、イスラエルの人種差別体制と大量虐殺を支える企業である」「この提携をやめるということが、結果的に暴力による解決は許さないという日本からイスラエル及び世界に向けたメッセージになる」と語りました。

伊藤忠本社前での抗議 筆者撮影
伊藤忠本社前での抗議 筆者撮影

〇在日パレスチナ人からのメッセージ

 本件には在日パレスチナ人でガザ出身のハニン・シアムさんもメッセージを寄せ、伊藤忠本社前や会見の場で代読されました。ハニンさんは「何人虐殺されれば 私たちに血が通っていて夢があって希望ある人間であると証明できるでしょうか」と嘆き、伊藤忠等に対し、「何も複雑なことではありません。抑圧、植民地主義、ジェノサイドの側につくのか、人間性のある側、自由と解放のある側のどちらにつくのか、あなたの今の決断が歴史の正しい側に立てるかを左右するでしょう」と呼びかけたのでした。


〇ファミリーマート関連商品等がボイコット対象に 

 今後の方針として、「有志の会」など市民団体側は、彼らの求めに伊藤忠が応じない場合、伊藤忠の子会社でコンビニチェーンのファミリーマートに対するボイコット、具体的には、おにぎりやお弁当、冷凍食品等のファミリーマートブランド商品「ファミマル」に対するボイコット運動を行うことも示唆。また、同じく伊藤忠系の、ジーンズブランドのEDWINやプリマハム等も、その対象になるとのことです。

 海外では、イスラエル兵士に無料で商品を提供したマクドナルド等、「イスラエル支援企業」とされる企業の商品に対する強烈なボイコット運動が展開されています。日本でも、伊藤忠本社の対応次第では、ファミリーマート等、伊藤忠の関連事業のイメージに大きく影響することになるかもしれません。

(了)

フリージャーナリスト(環境、人権、戦争と平和)

パレスチナやイラク、ウクライナなどの紛争地での現地取材のほか、脱原発・温暖化対策の取材、入管による在日外国人への人権侵害etcも取材、幅広く活動するジャーナリスト。週刊誌や新聞、通信社などに写真や記事、テレビ局に映像を提供。著書に『ウクライナ危機から問う日本と世界の平和 戦場ジャーナリストの提言』(あけび書房)、『難民鎖国ニッポン』、『13歳からの環境問題』(かもがわ出版)、『たたかう!ジャーナリスト宣言』(社会批評社)、共著に共編著に『イラク戦争を知らない君たちへ』(あけび書房)、『原発依存国家』(扶桑社新書)など。

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