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【更新】ブラック労働、生活苦に悩む人々はどの党に投票?政策比較 参院選2019

志葉玲フリージャーナリスト(環境、人権、戦争と平和)
わたしの仕事8時間プロジェクトによるアンケート結果 同団体のウェブサイトより

 今月21日に投開票される第25回参議院選挙。多くの人々の関心は年金や消費税であろうが、重要な争点はそれらにとどまらない。働き方や格差・貧困、子育て支援、欧州議会選挙では大きな争点となった温暖化対策などの環境問題など、NGOや有志の市民らが各政党や候補者にアンケートを行い、有権者の判断の材料としている。そこで、本稿では、労働問題や、格差・貧困対策についての各党政策アンケートの結果を紹介する。

○労働時間や最低賃金、ハラスメント防止など

 過労死防止や最低賃金の引き上げ等に取り組む、労働組合やNGOによる「わたしの仕事8時間プロジェクト」は、各党に公開質問状を送付。10項目の質問の回答を求めた(関連情報)。

「わたしの仕事8時間プロジェクト」のアンケートより ざっと賛否を観て、詳細も読んでもらいたいとのこと *れいわ新選組がアンケートに回答したため7月18日更新
「わたしの仕事8時間プロジェクト」のアンケートより ざっと賛否を観て、詳細も読んでもらいたいとのこと *れいわ新選組がアンケートに回答したため7月18日更新

わたしの仕事8時間プロジェクト http://union.fem.jp/

 その一部を紹介しよう。昨年10月、安倍政権により改められた労働基準法では、月の残業などの時間外労働や休日労働の合計した上限を単月で100時間、2~6ヶ月の平均で80時間と定めている。だが、厚生労働省の定める過労死ラインは「月80時間以上の残業」であり、現在の労基法自体がこの過労死ライン以上の時間外労働を認めてしまっている

 これに対し、「わたしの仕事8時間プロジェクト」はそのアンケート問1で、残業の労働時間を短くすることを提案。これに寄せられた各党の回答を○、△、Xで表している。○は、立憲民主党、共産党、社民党。Xだったのは自民党、国民民主党。期限までに回答がなかったのは公明党、日本維新の会、れいわ新選組*だ。

*7月18日更新 れいわ新選組が回答。残業時間を短くするとしている。

 問4では、最低賃金を今すぐ1000円、早期に1500円へ引き上げることを提案。各党からの返答には、自民党、国民民主党が△、立憲民主党、共産党、社民党は○。公明党、日本維新の会、れいわ新選組*は期限までに回答はなかった。なお、れいわ新選組は、そのウェブ上の政策集で、最低賃金を1500円に引き上げ、「中小零細企業に影響がない様に、不足分は国が補填」としている(関連情報)。

*7月18日更新 れいわ新選組が回答。

 問10は、ハラスメント禁止条約(「仕事の世界における暴力とハラスメントに関する条約」)を日本が批准することについての是非。同条約は、今年6月にILO(国際労働機関)の総会で圧倒的賛成多数で採択されたもので、加盟国に仕事での暴力・ハラスメントを禁止し防止措置のための法整備や、被害者の救済を義務づけるとしている。同条約を日本が批准することを「わたしの仕事8時間プロジェクト」は提案。各党の回答評価で自民党のみがXだった。

*7月16日 12:18追記

上記アンケートとは別に、AEQUITAS /エキタス も最低賃金の政策比較を行っている。

○住まいへの支援

住まいの貧困に取り組むネットワーク ブログ より
住まいの貧困に取り組むネットワーク ブログ より

 非正規労働者やシングルマザーなど低所得者層にとって重い負担となっているのが家賃の支払いだ。東京都など地価の高い都市部だと、収入の大半が家賃に消えてしまう。安価な公営住宅も少ない。他方、フランスやイギリス、スウェーデンなどでは低所得者用の住宅手当がある。住まいがあるということが基本的人権だとみなされているからだ。日本でも今回の参院選で、住まいへの公的支援を掲げている政党がある。住まいの貧困に取り組むネットワーク、国民の住まいを守る全国連絡会等の住宅運動団体は、今年5月、参議院選に向けて各党の住宅政策に関するアンケートを行った。その中で、回答があったのは、共産党、社民党、日本維新の会、立憲民主党の各党だという(回答順)。

http://housingpoor.blog53.fc2.com/blog-entry-322.html

 順に抜粋していくと、共産党は「住まいに対する権利の規定、公共住宅の質量ともの改善の明確化などを内容とする『住生活基本法』の抜本改正」を目指すという。また「民間住宅借上げなど多様な供給方式を活用し公営住宅を大幅に増やす」「民間賃貸住宅に居住する低所得者(概ね公営住宅入居資格者)への家賃補助制度の創設」などもあげている。

 社民党は、「『住宅支援制度』を創設し、「住まいの貧困」に対するセーフティネットを強化する」ことを重視するという。その他、「各地における『居住支援協議会』の設置を進めるとともに、『公的な保証人制度』や『公的家賃債権保証制度』の創設を検討する」「空き家データベースを整備するとともに、古い空き家や集合住宅に手を入れて、家賃負担が軽い住宅を再供給し、既存の住宅ストックの有効活用と住宅困難者対策の一石二鳥を実現する」などの政策をあげている。

 日本維新の会は、「都市計画事業が施行されることなく長期間経過する場合、建築制限を受けることによる経済上の不利益を受ける者への必要な措置を講ずる」「ゴミ屋敷対策」などを主張。

 立憲民主党は「空き家が1000万戸を超えると言われる中、持ち家重視から賃貸重視へと変換するべきである」「賃貸住宅への支援制度の創設が必要である」と回答。また、「中古住宅・マンションのリフォーム(耐震化、ゼロエネルギー化)の推進」「すべての建築物の断熱を義務化」など、省エネ・温暖化対策を意識した政策も掲げる。

 その他、上記アンケートとは別に、れいわ新選組はそのウェブの政策集で「空き家、中古マンション、団地を活用し、全ての世代が初期費用なし、安い家賃で住める公的住宅を拡充します」としている(関連情報)。

○大胆な財政出動

 

 近年、日本では、財政規律を優先するあまり、社会保障が削減され続けている。これに対し、大胆な財政出動で雇用を創出し、人々の生活を底上げしようと呼びかけているのが、立命館大学経済学部の松尾匡教授が代表を務める「薔薇マークキャンペーン」だ。

薔薇マークキャンペーンのサイトより
薔薇マークキャンペーンのサイトより

薔薇マークキャンペーン https://rosemark.jp/

 同キャンペーンには、経済評論家の森永卓郎さん、ベーシック・インカム関連の著述で知られる井上智洋・駒沢大学経済学部准教授らも呼びかけ人に加わっている。同キャンペーンは、

「消費税増税反対」「社会保障・医療・介護・保育・教育・防災への大胆な財政出動による雇用創出」「最低賃金の引き上げ」「大企業・富裕層の課税強化」「公共インフラのいっそうの充実」

等の経済政策を要求。これらの「反緊縮の経済政策」に一定程度合致する候補者を政党を問わず「薔薇マーク認定候補者」として認定し、生活の改善や生活不安の解消を切望する多くの人々の投票の参考にしてもらうとしている。薔薇マーク認定候補者は、今月13日集計の時点で、49名。そのリストや候補者のコメント等、薔薇マーク候補者の選定基準等が同キャンペーンのウェブ上で確認できる。

(了)

フリージャーナリスト(環境、人権、戦争と平和)

パレスチナやイラク、ウクライナなどの紛争地での現地取材のほか、脱原発・温暖化対策の取材、入管による在日外国人への人権侵害etcも取材、幅広く活動するジャーナリスト。週刊誌や新聞、通信社などに写真や記事、テレビ局に映像を提供。著書に『ウクライナ危機から問う日本と世界の平和 戦場ジャーナリストの提言』(あけび書房)、『難民鎖国ニッポン』、『13歳からの環境問題』(かもがわ出版)、『たたかう!ジャーナリスト宣言』(社会批評社)、共著に共編著に『イラク戦争を知らない君たちへ』(あけび書房)、『原発依存国家』(扶桑社新書)など。

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