「死の商人」化の防衛省、700万人飢餓のイエメン内戦加担のサイコパス―自衛隊機売り込み、中東ドバイで

内戦下のイエメンで子ども達は深刻な栄養失調に苦しんでいる。(写真:ロイター/アフロ)

 今月12日、防衛省はUAE(アラブ首長国連邦)のドバイでの中東有数の航空ショーで、自衛隊の新型輸送機「C2」(川崎重工製)を展示、各国の防衛関係者に売り込みをかけた。防衛省によると、UAEがC2導入に意欲を示しているというが、UAEはサウジアラビアが主導し、イエメン内戦に介入する連合軍の一角。国内の市民団体からは、「イエメン内戦を助長することになる」とC2輸送機の中東への売り込みに厳しい声があがった。

◯C2輸送機売り込みは戦争犯罪に加担

 「C2輸送機をUAEに売り込むことは、戦争犯罪への加担そのもの」―武器輸出反対ネットワーク代表の杉原浩司さんは、昨日15日、都内で催された勉強会で厳しく防衛省を批判した。

UAEの国防担当者は、サウジ主導の連合軍で運用する場合、C2輸送機は軍の装備品を輸送することになると明言しています。内戦下のイエメンに対し、サウジ主導の連合軍は、無差別な爆撃を行い、民間人多数を虐殺しています。イエメンでは、サウジ連合軍によるインフラ破壊や国境封鎖で、飢餓やコレラ等の感染症の流行が深刻化しており、国連も『最悪の人道危機』と警告しているのです」(杉原さん)

C2輸送機。防衛省資料写真より
C2輸送機。防衛省資料写真より
武器輸出反対ネットワークの杉原浩司さん
武器輸出反対ネットワークの杉原浩司さん

◯世界最悪レベルの人道危機、イエメンの惨状

 イエメンでは、2015年に政権が崩壊し、ハディ暫定大統領派とイスラム教シーア派の武装組織フーシ派が対立。暫定政権側を支援するイスラム・スンニ派主導のサウジアラビアと、フーシ派側を支援するイスラム・シーア派の総本山イランによる代理戦争となり、情勢は混迷する一方だ。

 内戦の影響の中でも、とりわけ深刻なのが食糧危機。紅海沿いの港湾都市ホデイダ周辺での戦闘の影響から食料の輸入が止まり、今年4月の時点で、国連世界食糧計画(WFP)は「前例のない大規模な食糧危機を招く」と警告していた。既にイエメン人口のおよそ3分の1である約700万人が飢餓に直面し、支援を必要としているが、サウジアラビアは、フーシ派を支援するイランからの武器流入を防ぐ名目で、今月6日にイエメン国境を封鎖、国連の支援物資も届けられない状況だ。日本のメディアではそうした映像がほとんど放送されないが、海外メディアでは皮と骨だけにやせ細り餓死寸前の子ども達の姿が連日放送されている(リンク先の動画は、BBCが放送したもの)。

 コレラの爆発的な流行も過去最悪レベル。国連人道問題調整室(OCHA)によれば、イエメンでは、コレラの感染やその疑いが90万人以上に広がっているという。内戦で上下水道や医療施設が破壊されたことから、流行拡大に歯止めがかからない状況だ。国際赤十字の予測では、年末までにイエメンのコレラ感染者は100万人に到達するという。

◯防衛装備庁職員の呆れた言動

 国際社会がイエメンの状況を憂慮している中、UAEなど紛争当事者である中東諸国に兵器を売ろうとしている安倍政権は、無神経甚だしい。前出の杉原さんは、今月14、15日に開催された防衛装備庁技術シンポジウム2017での防衛省職員の発言について呆れ顔で語る。「シンポで登壇した、林美都子・防衛装備庁国際装備課長は『ドバイの航空ショーでC2輸送機の売り込みを頑張ってきました!』と妙にハイテンションで報告してました。休憩時間に、林・国際装備課長に『UAEにC2を売らないで下さい』と訴えると、『移転(武器輸出)は我が国の安全保障に資する場合に行う安保に資するため』と返してきましたが、全く意味不明です。政府関係者は皆、紋切り型の発言しかしませんが、イエメンの状況を何だと思っているんですか。今回のドバイでの航空ショーのC2輸送機の展示について、防衛省内でも、『中東の紛争に加担していると言われる』と懸念する声があったそうですが、わかっていてやっているのですから、本当に悪質だと思います」(杉原さん)。

◯モラルなき「死の商人」化を止めるには

 「死の商人」としてモラルなき武器輸出を押しすすめる安倍政権。その暴走を止める手立てはないのか。昨日15日に都内で催された武器輸出反対ネットワークの勉強会で、杉原さんは「(自衛隊の装備品を生産している)日本企業は、全体の事業の中で、軍需部門の割合は小さく、むしろ『死の商人』とのイメージ悪化での民生品売上の低下リスクを嫌う傾向にあります。日本の人々が、武器輸出に反対の声を上げていくことが重要です」と訴えた。

武器輸出反対ネットワークの勉強会
武器輸出反対ネットワークの勉強会

 同じく勉強会で発言した池内了・名古屋大名誉教授(宇宙物理学)は安倍政権が研究費をエサに大学に軍事研究を求めている状況を「研究者版の経済的徴兵制だ」と批判。「大学における軍事研究差し止めの要請を強めること」「学術機関から、民生分野の期限のつかない研究資金充実を求めること」などが重要であると強調した。青井未帆・学習院大学教授(憲法学)は「(政府の武器輸出についての規定である)防衛装備移転三原則は国民的議論や国会での論戦も経ておらず、正当性があるものとは言えない」として、防衛装備移転三原則を承認したわけではない、と主張していくことが大切であると呼びかけた。

(了)