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小6女児誘拐事件、子供をスマホやネットの危険から守るための管理方法は?

篠原修司ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門
子供に自由にスマホを使わせて大丈夫ですか?(写真:アフロ)

 大阪の小学6年生の女の子が誘拐された事件で、容疑者の男が女の子と知り合ったきっかけは『Twitter』のDM(ダイレクトメッセージ)だとわかりました。

 この事件で女の子の両親は「スマートフォンを5年生くらいから持たせており、月に何度かチェックしていた」とNHKの取材に答えていましたが、事件の発生でそのチェックは完全ではなかったと言えます。

 しかし、似たような管理方法で子供にスマホを持たせている親御さんは多いのではないでしょうか?

 そこでどうすればこのような危険から少しでも子供を遠ざけられるのか、解説します。

『Twitter』は13歳未満は利用禁止

 まず、そもそもの話として小学生の子供に『Twitter』を利用させてはいけません。

 というのも『Twitter』は13歳未満の利用を禁止しているからです。たまに企業アカウントが会社の創業日やアカウント設立日を『Twitter』の誕生日に設定して凍結されている事例を見かけますが、あれは13歳未満の利用禁止に自動判定で引っかかっているからです。

 『Twitter』側は「13歳未満が使うと危ない」ことを認識しており、その対策も(システム的にですが)取っています。

 そのため『Twitter』のDMで誘い出されたのは、使うことを認めた親の責任の範囲と言えるでしょう。

子供のアプリ利用時間はチェックできる

 では、13歳以上になれば『Twitter』などのSNSを利用させても良いのでしょうか?

 結論としては利用させても構いませんが、きちんと親が管理する必要があります。

 そのための機能が『iPhone』でも『Android』でも提供されています。

『iPhone』は「スクリーンタイム」

「スクリーンタイム」機能。Appleより
「スクリーンタイム」機能。Appleより

 『iPhone』では、アプリの利用時間の制限や確認、インストールの制御などができる「スクリーンタイム」という機能が提供されています。

 「スクリーンタイム」はスマホ中毒にならないためにユーザー自身の利用時間を確認するためのものですが、親が子供の『iPhone』の利用状況を確認するためにも設計されています。

 我が家でもこの「スクリーンタイム」を利用しており、子供の『iPhone』の利用可能時間は23時まで、アプリはゲームが1日2時間、『YouTube』は同1時間、『Safari(インターネット)』も同1時間といった具合に制限しています。

『Android』は「Googleファミリーリンク」

「Googleファミリーリンク」機能。Googleより
「Googleファミリーリンク」機能。Googleより

 『Android』でも同様の機能として「Googleファミリーンク」が提供されています。

 こちらも子供のアプリの利用時間の制限や確認などができます。

子供は「あの手この手」で親の制限をすり抜ける

 「スクリーンタイム」と「Googleファミリーリンク」の優れている点は、子供のアプリの利用時間が曜日や時間帯ごとにわかるところです。

アプリの利用時間がわかる。Appleより
アプリの利用時間がわかる。Appleより

 例えば我が家では子供が小学生のころは『YouTube』アプリを禁止していました。子供が『YouTube』漬けになっていたことが理由で、代わりにリビングのゲーム機から『YouTube』を見られるようにしました。

 親の前で見られないような動画を、スマホから見られないようにしたわけです。

 しかし、『YouTube』アプリを禁止してしばらくしてから、とあるアプリの利用時間がとても伸びてることに気づきました。不思議に思って子供のスマホを確認したところ、そのアプリのアプリ内ブラウザを経由して『YouTube』を見ていることがわかったのです。

 叱ったことは言うまでもありません。

 この『YouTube』をめぐる戦いはこの後も続くのですが、長くなるのでここでは割愛します。

 伝えたいことは親が制限をかけて「ああ、これで安心だ」と思っても、子供はそれをすり抜けてくるということです。とくに学校には同じように制限されている友達がいるため、彼らは協力して親の制限をすり抜ける方法を研究・共有します。まあ、勝てません。

 (余談ですが中学生になったあとは1時間の制限でスマホからの視聴を解禁しています)

子供は言うことを守らない(ことがある)

 我が家では私も妻もインターネットをよく使っているため、SNSに限らず「知らない人と連絡先を交換しないように」、「本名や住んでいる場所は言わないように」といったことは何度も伝えていました。

 これは学校でも繰り返し指導されており、子供もそうしたことがダメなのは知っていたはずです。

 そうです、守られませんでした。

 あれは中学生になったばかりのときでした。子供がいつもプレイしているオンラインゲームのチャットで住所モロバレな発言をしており、最終的に『LINE』のアカウントを交換して特定の人と話していることがわかったのです。

 叱ったことは言うまでもありません。

 このことに気づけたのは、子供が普段プレイしているそのゲームはほぼチャットを利用しないことを知っていたからです。スマホを横向きに持っているのに、たびたび画面にテキスト入力らしき操作をしているところを見ればゲームではなく違うことをやっているとわかります。

 また、『LINE』の利用時間も増えており、これまでと違う『LINE』の使い方をしているのだろうとも推測できました。

 そこで『LINE』を確認したところ見知らぬハンドルネームの人物が追加されていることがわかり、膝を突き合わせて聞いたところ子供が白状したという流れです。

 まあ要するに、何度伝えていても子供は親の言うことを守らないことがあるのです。振り返ってみれば自分もそうでした。

子供がどんな遊び方をしているのか知ることが一番大事

 我が家の事例では誘拐にまで発展することはありませんでしたが、知らない人と連絡を取っていることに気づけたのは、子供のスマホ利用時間をきちんと数字で把握できるようにしていたことと、子供がいつも遊んでいるアプリがどんなものなのか理解していた点に尽きると思います。

 「子供がどんな遊び方をするのか知らない遊び道具を与える」のは、ネットにかぎらず子供が危険にさらされるリスクが高くなります。

 「スマホなんてよくわからないよ」、「子供にはきちんと聞いてるから大丈夫だよ」と言って子供のことを放置するのではなく、親が利用時間や利用方法をきちんと管理することが重要です。

 とくに『Twitter』や『LINE』といったコミュニケーション系アプリは、よく話す人ができるとその利用時間がグンと伸びます。利用時間を把握できていればその段階で気づけ、問題が起きる前に確認・対応することもできます。

 よく理解せずスマホを与えている親御さんは、一度お子さんが使っているアプリを体験してみてください。使い方がわかれば、普段と違うことをしていれば気づけます。子供を危険から守りたいのであればまずはそこからだと筆者は思います。

ITジャーナリスト/炎上解説やデマ訂正が専門

1983年生まれ。福岡県在住。2007年よりフリーランスのライターとして活動中。スマホ、ネットの話題や炎上などが専門。ファクトチェック団体『インファクト』編集員としてデマの検証も行っています。最近はYouTubeでの活動も。執筆や取材の依頼は digimaganet@gmail.com まで

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