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外出自粛で急増のNetflixで人気の『梨泰院クラス』とは…韓国での評判は?

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
『梨泰院クラス』ポスターより(写真:韓国テレビ局JTBC)

新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛が広がるなか、動画配信サービスNetflixの利用者数が急増しているという。筆者の周辺でも利用者が増えているが、Netflixではちょっとした韓流ドラマブームが起きているらしい。

以前紹介した『愛の不時着』もそうだが、ここ最近、Netflix日本国内の「今日の総合TOP10」で連日上位にランクインしているのが、『梨泰院(イテウォン)クラス』という韓国ドラマだ。

3月28日から配信開始されて以来、常に上位にランクインするほど、不動の人気を誇っている。

タイトルにある「梨泰院」というのは、韓国の首都ソウルの中でも特に国際色豊かな街の名前だ。米軍基地や各国の大使館があることから、多国籍な人や文化による独特な雰囲気を醸し出す界隈である。かつてはよく“韓国の六本木”とも言われた。

そんな梨泰院の街にひょっこり現れた“頑固者”の青年がのし上がっていく痛快なサクセスストーリーとなっているのが、『梨泰院クラス』だ。

とある理由で中卒の前科者になった主人公が、不条理な世の中に立ち向かって前へ前へと進み、壮大な野望を実現させていく。冷静な判断力と熱い情熱を持った青年の道のりが、多くの視聴者を一喜一憂させた。

韓国では今年1月31日から3月21日までケーブル局のJTBCで放送され、視聴率と話題性でトップを守り続けた。最終回の視聴率は16.5%(首都圏18.3%)をマーク。現在BSフジで放送中の『SKYキャッスル~上流階級の妻たち~』に次ぐ、同局史上2番目に高い視聴率だった。

『梨泰院クラス』がここまで人気を集めた理由は何か。

まず、主人公のパク・セロイ役を熱演した俳優パク・ソジュンの存在を挙げられる。

パク・ソジュンといえば、最近では『キム秘書はいったい、なぜ?』で日本でも大人気の若手俳優だ。『キム秘書』ではカリスマがあるのにどこかコミカルな一面を持つキャラクターを演じて女性ファンの心を掴んでいたが、『梨泰院クラス』では同性の男性たちが見ても惚れ惚れするような男気も感じさせる。

(参考記事:【写真】『梨泰院クラス』で見せたパク・ソジュンの七変化が凄い!)

今年で31歳になるパク・ソジュンにとって、パク・セロイというキャラクター自体も役者としてのチャレンジ精神を刺激する魅力的な役柄だったはずだ。

“いがぐり頭”で服の着回しも独特なパク・セロイというキャラクターをここまで魅力的に具現化できたのは、パク・ソジュンだからこその技かもしれない。

また、今や世界的な人気を誇るBTS(防弾少年団や、俳優パク・ボゴムといった人気スターとのコラボも、大きな話題を呼んだ。主演パク・ソジュンとも親交が深いBTSのVは、自らプロデュースしたドラマの挿入歌『Sweet Night』を歌って親友をサポートした。

これは少々ネタバレになってしまうが、最終回の目玉となったパク・ボゴムのカメオ出演にも、韓国では大きな話題になっている。

ちなみに『梨泰院クラス』は前出の『キム秘書』同様、同名のウェブ漫画を原作にしている。

「DAUM WEBTOON」や「KakaoPage」といった大手プラットフォームで連載された原作は、確かなストーリー展開と個性豊かなキャラクターたち、さらには数々の名台詞が評価されていた。原作を忠実に映像化することで原作ファンからも支持を得たのが、『梨泰院クラス』の強みでもあるのだろう。

いずれにしても日本の多くのNetflixユーザーたちを釘付けにしている『梨泰院クラス』。その人気は、しばらく続きそうだ。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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