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「死の組」と戦々恐々の声も。韓国サッカーは東京五輪のピッチに立てるか?

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
イ・ガンイン(写真:ロイター/アフロ)

来年の東京五輪のアジア最終予選も兼ねたU-23アジア選手権のグループリーグの組み分けが決まったが、韓国は厳しい組に入った。

イラク、日本、朝鮮民主主義人民共和国(以降、北朝鮮)と同じくポット2に入り、グループCに配置されたが、そのグループCに振り分けられた国々が難敵揃いだ。

中国、イラン、そしてウズベキスタン。韓国メディア『NEWSIS』は「韓国、東京に向かう道でイラン・中国・ウズベキスタンと“死の組”に」とさっそく報じている。

過去の成績では分がいいが…

KFAに確認したところ、U-23代表レべルでの過去の通算成績では韓国が勝ち越している。

イランには5勝2敗1分け、ウズベキスタンには8勝1敗1分け、中国には10勝1敗3分けと韓国に分がある。

オーバーエイジが加わっていたものの前哨戦に近い形だった昨年のアジア大会でも、韓国は決勝トーナメント1回戦でイランに2-0、準々決勝ではウズベキスタンに4-3で勝利した。

が、イラン戦でゴールを決めたのはファン・ウィジョとイ・スンウ、ウズベキスタン戦で勝利できたのはファン・ウィジョのハットトリックとファン・フィチャンのPKがあったからでもあった。

そうしたことを差し引くと、「身体能力に優れたイラン、前回大会の優勝チームでありU-23カテゴリーでは粘り強いウズベキスタン、ヒディンク監督が解任されたとはいえタフなサッカーを仕掛けてくる中国も侮れない」(『スポーツソウル』)というのが韓国メディアの見方でもある。

U-20W杯準優勝メンバーも加入。イ・ガンインは?

もっとも、チームを率いるキム・ハクボム監督はアジア大会優勝で一旦チームをリセットし、2018年12月からチーム作りをはじめ、今年3月のU-23アジア選手権予選を経て5月には国内合宿を実施するなど、東京五輪出場を目指してチーム強化に取り組んできた。

9月の強化合宿では、今年6月のU-20ワールドカップで準優勝したメンバー7人を招集。U-20ワールドカップに出場しなかったが、昨季までバイエルン・ミュンヘンに所属し、今季からSCフライブルクに属するチョン・ウヨン(元神戸のチョン・ウヨンではない)もチームに迎え入れる準備を進めている。

また、キム・ハクボム監督の構想の中には、U-20ワールドカップでゴールデンボールに輝いたイ・ガンインもあるはずだ。イ・ガンインは昨日のバレンシア対ヘタフェ戦で待望のスペイン・リーグ初得点を決め、韓国では日本の久保建英と同じような期待と注目を集めている。

(参考記事:久保建英と対照的?韓国代表イ・ガンインのバレンシアにおける“厳しい立場”

バレンシアでようやくポジションを掴み始め、A代表デビューもしたイ・ガンインをU-23アジア選手権で招集するためにはさまざまな調整も必要だろうが、東京五輪出場権がかかっているだけに韓国が総力戦でU-23アジア選手権に挑むことは間違いないだろう。

決勝Tでベトナムと対戦なれば韓国人監督対決も

いずれにしても、東京五輪のアジア出場枠は3枠。上位3チームに出場権が与えられる。日本がベスト4に進出した場合、準決勝に進出したチームには無条件で東京行きのチケットが与えられるので、韓国はベスト4まで駒を進めることができなければ東京五輪のピッチを踏むことができない。

韓国ではグループCを勝ち上がってもその順位次第では、韓国人監督パク・ハンソが率いるベトナムとの対戦もあるかもしれないともしている。

はたして韓国は“死の組”とされるグループCを勝ち上がり、準決勝まで駒を進めることができるだろうか。U-23アジア選手権は、来年1月8日からタイで行われる。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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