韓国時代劇『不滅の恋人』が描く王位継承者への道…「世子」は“試練”だらけだった!?

『不滅の恋人』公式サイトより

毎週日曜NHKで放送中の韓国時代劇『不滅の恋人』は、朝鮮王朝時代を舞台にした史劇ロマンスだ。

女優チン・セヨン演じるジャヒョンをめぐって2人の王子が対立するのだが、その一方で2人のうち、どちらが王位を継承するのかも重要な見どころといえる。

朝鮮王朝時代、王位継承者は「世子(セジャ)」と呼ばれた。

ユン・シユン演じるイ・フィやチュ・サンウクが演じるイ・ガンは、それぞれ「ウンソン大君(テグン)」「チニャン大君」と呼ばれるが、「大君」は王妃が生んだ王子に与える称号だ。どちらも今の段階では、正統な王位継承者である世子ではない。

王位継承者=世子に待ち受ける“試練”とは

史実において世子に選ばれるのは、王とその正妻である王妃の間に生まれた長男というのが一般的だが、朝鮮王朝の歴史を振り返ると、例外も存在する。

例えば、側室が王妃よりも先に男子を産んだ場合、側室を王妃の座に収め、その息子を世子として定めるケースもあった。王妃の地位にいる人物を入れ替えて、“正当な世子”であるという辻褄を合わせたわけだ。

時代劇『トンイ』で描かれた第19代王・粛宗(スクチョン)と側室の張禧嬪(チャンヒビン)、そしてその息子の景宗(キョンジョン)の関係がそれに当てはまる。

(参考記事:実は“トンイ”の「裏の顔」はどれほど恐ろしかったのか?

興味深いのは、正統な王位継承者である世子には、王になるためのさまざまな“試練”が待ち構えていることだ。

まず世子候補に挙げられた王子は、4歳くらいになると儒学を中心に、さまざまな教育を受けた。1日45分間ほどの授業を朝昼晩と受け、覚えた内容を忘れた場合は、罰を受けることもあったという。

また党派争いに巻き込まれることも少なくなかった。

最たる例は、第21代王・英祖(ヨンジョ=トンイの息子)が世子として定めた思悼(サド)世子だろう。思悼世子は党派争いに巻き込まれ、最終的には米びつのなかで飢え死にしてしまった。

世子は、厳しい教育とプレッシャーのなかで日々を送ることになるわけだが、『不滅の恋人』の登場人物にも興味深いエピソードが残されている。イ・ガンやイ・フィの兄で、国王のイ・ヒャンだ。

そのモデルとなっている第5代王・文宗(ムンジョン)は、父・世宗(セジョン)のもとで長らく世子生活を続けた人物。7歳で世子となり、王になるまで30年近くを世子として過ごした。

その期間、あまりにも勉強にのめり込みすぎ、彼は夫人をまったく相手にしなかったという。寂しい思いをした夫人は、宮女と同性愛に走るというスキャンダルを起している。国を背負うプレッシャーから、世子たちがいかに勉強の虫になっていたかを物語るエピソードといえよう。

そのプレッシャーから、「世子時代を長く過ごした王ほど短命」と指摘する歴史学者もいる。

『不滅の恋人』でも王位継承をめぐり、登場人物たちがさまざまなドラマを見せる。ひとまずは今夜の放送を楽しみたい。