Yahoo!ニュース

「韓国のASAYAN」以上?IZ*ONEら輩出した『PRODUCE』シリーズの魅力とは?

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
『PRODUCE 48』のIZ*ONE(写真=SPORTS KOREA)

日韓合同ガールズグループIZ*ONEなどを輩出した韓国のオーディション番組『PRODUCE 101』(Mnet)が、日本に上陸するという。お笑いコンビのナインティナインが司会を務めるということで、『韓国のASAYAN上陸』と見出しを打ったメディアも見受けられた。

今でこそASAYAN顔負けにオーディション番組全盛の韓国だが、実は韓国で『PRODUCE 101』が放送された2016年当時は、「AKB48選抜総選挙」のパクリ疑惑が持ち上がるなど、批判の声が多かった。

(参考記事:韓国「オーディション番組ブーム」の実態と現状。成功の裏に潜む懸念とは

I.O.I、Wanna One、IZ*ONEを輩出

ところがいざ番組が始まってみると、約101人のアイドル練習生たちが成長と奮闘を繰り広げる姿が大きな反響を呼んだだけでなく、番組が輩出したガールズグループI.O.Iも“国民的アイドルグループ”として大人気を博し、センターを務めたチョン・ソミは今も活躍中だ。

翌年にはボーイズ編である『PRODUCE 101』第2シーズンが放送され、合格者11人で結成されたWanna OneがK-POP界に旋風を巻き起こした。

Wanna Oneは約1年半にわたる活動期間中に800億ウォン(約80億円)売り上げたと言われるほど爆発的な人気を誇った。

最近はグループの中でもっとも人気があったカン・ダニエルが所属事務所との専属契約を巡って紛争中で、その背景には洗脳疑惑があるとの噂が流れるなど騒がしいが、それも裏返せば『PRODUCE 』シリーズの知名度と関心度のためだろう。

(参考記事:元Wanna Oneカン・ダニエルの背後に“違法な勢力”? 芸能関係者ら「合法的な権限に基づいて対応する」

事実、メンバーたちが最後に残したラストメッセージは今でもファンたちの間で語り草にもなっている。

何よりも『PRODUCE』シリーズを語る上で外せないのは、『PRODUCE48』だろう。

2018年にAKB48グループの運営を担うAKSとMnetがコラボレーションした第3シーズン『PRODUCE 48』では宮脇咲良、矢吹奈子、本田仁美の日本人メンバーが加わったIZ*ONEが誕生し、現在は日韓で活動を展開している。

4月1日に韓国でリリースされたIZ*ONEの2ndミニアルバム『HEART*IZ』は初週売上が13万2109枚(4月1~7日基準)を記録。この記録はK-POPガールズグループが過去にリリースしたアルバム中トップの数字で、これまで1位だったTWICEを上回る。最近は楽曲だけではなく、そのビジュアル面でも「歴代最高級」とされているほどだ。

(参考記事:IZ*ONE、歴代最高級の女神ビジュアル披露!! 期待は高まるばかり【PHOTO】

国民プロデューサーたちを釘付けにした喜怒哀楽

まさに次々と人気グループを輩出してきた『PRODUCE』シリーズだが、その最大の魅力は人間ドラマにある。

「全国民(視聴者)がプロデューサーになってメンバーを選抜する」という番組コンセプトのもと、毎回テレビの前の“国民プロデューサー”たちが釘付けになる“練習生たちの喜怒哀楽”が描かれた。

練習生はもちろん、“国民プロデューサー代表”と呼ばれる司会進行役も注目を浴びたが、第1シーズンでは人気俳優のチャン・グンソクの巧みな司会進行ぶりが大好評。第2シーズンでは日本でおなじみの歌手BoAが練習生たちの“大先輩”として司会兼メンターの役割を果たし、第3シーズンではタレントのイ・スンギが安定の司会力と日本人練習生への優しさを披露し、好評を博した。

昨年『PRODUCE 48』が放送されたとき、この番組フォーマットがいつか日本に上陸するかもしれないという可能性は感じていたが、まさか本家と吉本興業が共同制作する形になるとは驚きだ。都内で概要発表会見が行われた4月11日から参加者の募集も始まったらしい。

『PRODUCE』シリーズを手がけたプロデューサー、アン・ジュンヨン氏は以前、韓国メディア『THE STAR』のインタビューで同番組の企画意図をこう説明していた。

「1年に約100組のアイドルグループがデビューするとしたら、人気を得るのは1〜2組に過ぎない。しかも中小規模の事務所所属だとなおさら厳しい。『PRODUCE 101』では、事務所の大小に関係なく、アイドル練習生自らが自分の魅力や実力を世間にアピールする機会を与えたかった」

韓国ではシリーズ4の収録もスタート

アン氏の言う通りK-POPアイドルの生存競争は年々厳しくなっている。ましてやデビューできずにいるアイドル練習生たちの苦労たるや想像を絶するものだろう。

そんな練習生たちの一筋の光となり、K-POP界に活気を与えたのが『PRODUCE 』シリーズなのだ。韓国では2019年上半期放送を目指して、すでにシリーズ第4弾となる『PRODUCE X101』の収録が始まったと言われているが、日本版『PRODUCE 101』も日本のアイドル業界に新風を吹かすかどうか、注目したいところだ。

ちなみに、番組のタイトルにある「101」の意味にお気づきだろうか。韓国では「101人の練習生が出演するから」と認識している人が多いと聞くが、前出のアン氏によると「101」は「入門コース」を意味するアメリカ大学の科目番号システムから借用したもので、“101人の練習生”はタイトルに合わせた後付けという。

才能あふれる101人のアイドル練習生が生存競争を繰り広げながらも、同じ夢を持つ仲間として友情を育むリアルな青春物語に、早くも期待が高まる。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

慎武宏の最近の記事