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平昌五輪でアメリカ人の77%が“親韓派”になった!? 韓国の「好感度」が急上昇している理由

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
リュージュ・チームリレーの表彰式(写真:ロイター/アフロ)

これも“オリンピック効果”だろうか。平昌五輪を通じて、韓国の好感度が上がっているという。

韓国の文化体育観光部と韓国観光公社は2月21日、「2017韓国観光・広告広報マーケティング効果調査」の結果を発表。それによれば、観光目的地としての韓国の認知度は56.5%。2016年(53.2%)から3.3%ポイント上昇し、目標にしていた53.7%を上回ったという。

同調査は主要20カ国の15~59歳の男女1万2000人を対象に、2017年12月26日~2018年1月19日に行った設問調査だ。

文化観光部と韓国観光公社は同じような調査を2012年から実施してきたが、認知度は毎年平均0.6%ポイント上がる程度だった。それが今回は平均の5倍以上もアップしたのだから、オリンピック効果の大きさがわかるだろう。

韓国の好感度がアップ

なによりも、韓国に対する好感度も58.3%(前年比0.8%ポイント)と上昇している。

数字だけを見ると「微増に過ぎない」と感じるかもしれないが、韓国は国家イメージを上げるためにさまざまな努力してきた背景があるだけに、ひとつの成果だと言えるだろう。

数年前に大統領直属の機関“国家ブランド委員会”なるものを設置して、外国人の韓国に対するイメージを変えようとしたが、逆効果しか生み出せなかった韓国にしてみれば、「意味のある微増」とも言えるかもしれない。

(参考記事:ドイツや日本と対照的…韓国が「国家ブランド指数」で伸び悩むワケ

韓国の好感度が上がっているというデータは、ほかにもある。

アメリカで過去最高の好感度に!!

アメリカ人の韓国に対する見方だ。

2月20日(現地時間)に発表されたギャラップ社の調査によれば、アメリカ人の77%が韓国に対して肯定的な見方をしているという結果が出たのだ。これは2011年の65%を超える過去最高の数字だ。

さらに、韓国に無関心なアメリカ人の比率も下がったという。2014年8%から今回の調査では2%にまで減ったらしい。

アメリカと韓国の国民感情でいえば、昨年6月に米世論調査機関ピュー・リサーチセンターが発表した数字で、アメリカ人の10人に1人が韓国を「敵国」と見なす結果が出るなど、“すれ違い”が続いていた状態だった。

(参考記事:10人に1人が韓国を「敵国」と見なす理由とは? すれ違うアメリカと韓国の国民感情の実態

それが一気に過去最高の好感度になったわけだ。

ギャラップ社は「韓国に対するアメリカ人の好感度が最高値を更新したのは、オリンピックの肯定的な効果なのか、北朝鮮の隣国・韓国に対する同情が反映されたのかははっきりとしない」と断言はしていないが、平昌五輪が少なからぬ影響を与えたことは間違いないだろう。

そして、こういった韓国に対するイメージの変化は、アメリカのみならず、他国へと広がっていくかもしれない。

あのドイツとも草の根交流

というのも平昌五輪を機に、韓国と他国の草の根交流も活発に行われているからだ。

例えば、平昌五輪が行われている江原道(カンウォンド)の日刊紙『江原日報』は、同地の青少年とドイツの青少年の交流活動を紹介。ドイツ青年らはK-POP文化講演や江陵(カンヌン)市内の観光地を見学するなど、有効な国際交流を行ったそうだ。

ドイツといえば世界一の“嫌韓国家”ともされ、過去には韓国人に対する差別的な事件が話題になったこともあった。

(参考記事:韓国否定派が65%!! なぜドイツは世界一の“嫌韓国家”なのか

それでも今回のオリンピックを機にした交流で、ドイツ内でも韓国に対するイメージは変わっていくかもしれない。

いずれにしても、“オリンピック効果”で好感度を上げている韓国。この流れが平昌五輪が終わった後も続いていくのか、注目したい。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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