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「小平奈緒に勝てる可能性は……」韓国イ・サンファが母にすがるほど切迫している理由とは?

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
イ・サンファと小平奈緒(写真:松尾/アフロスポーツ)

本日18日に行われるスピードスケート女子500m。

注目は、日韓エース対決だ。同種目でW杯15連勝中の小平奈緒と、五輪3連覇を狙う韓国のイ・サンファ(李相花)が雌雄を決する。

現地メディアも二人の直接対決を大きく取り上げている。「日本の小平奈緒、“500mに集中”…イ・サンファと真剣勝負を予告」(『スポーツ韓国』)、「イ・サンファvs小平…旧正月の連休に“ライバル・ビッグマッチ”」(『アジアトゥデイ』)といった見出しが並んでいる。

イ・サンファにとっては自身最後の五輪。ましてイ・サンファは、平昌五輪を盛り上げる“韓国7大美女アスリート”にも選ばれるスター選手。小平と争う今日のレースでは、さらに大きな声援が送られることは間違いないだろう。

平昌五輪の広報大使も務め、今大会に向けて準備を進めてきただけに、メディアもファンも目が離せないのだ。

ただ、韓国で“氷上の女帝”とも呼ばれるイ・サンファが、小平との直接対決を前に、かなりナーバスになっていることは先日も本欄で紹介した通りだ。

(参考記事:「あの選手(小平奈緒)との比較はやめて!!」“女帝”イ・サンファがかなりナーバスになっているワケ)

「お母さん、会いにきて」

イ・サンファはメイン種目である今日の500mに焦点を合わせ、14日に行われた1000mを棄権したが、その決断を下す際も、母親に助けを求めていた。

韓国メディア『東亜日報』によれば、イ・サンファは母親に直接電話をかけ、こう話したという。

「お母さん、江陵(カンヌン)に来て。会いたいよ」

もともとイ・サンファは、メンタルの強さに定評のある選手だ。過去には「スランプは内面的な仮病」と語るなど、刺激的な個性を発揮して話題を呼んだこともあった。

(参考記事:LEGOオタク!? グラビアも披露!? スピードスケート界の“氷上の女帝”イ・サンファの意外な素顔

それでもイ・サンファが母親に頼らざるを得ないほど精神的に不安定になっていることには、ここ最近の不調が関係しているだろう。

というのも、この2シーズンは、W杯で小平に全敗。怪我が重なり、記録も落ち込んでいる。

特に、持ち味であるスタートダッシュは鈍っている。『スポーツ・ソウル』で氷上競技を担当するキム・ヒョンギ記者も言っていた。

「イ・サンファのように500m種目に特化した選手の場合、最初の100mの加速が重要になります。イ・サンファは、もともと最初の100mが速い選手ですが、最近はこの区間の記録が伸び悩み、苦戦が続いています」

実際、2013年に36秒36の世界記録をマークしたレースでは、最初の100mを10秒09で走っていたが、今季のW杯第2戦までは10秒30~40台。

第3戦と第4戦では10秒20台に持ち直したが、第4戦の100mを10秒14で通過している小平には差を付けられている。

小平とイ・サンファに対する韓国ファンたちの比較コメントを見ても、平昌での対決には諦めムードすら漂っている状況だ。

(参考記事:「イ・サンファの“最高の対抗馬”」「もう追いつけない」小平奈緒を見つめる韓国の視線)

韓国記者の勝敗予想

それだけにイ・サンファは、直接対決を前にナーバスになっているのだろうが、今日のレースに勝機がないわけではない。

キム・ヒョンギ記者もこう分析する。

「これまでの試合を見る限り、イ・サンファが小平に勝つ可能性は25%ぐらいでしょうか。ただ、イ・サンファが調子を上げてきているのも事実ですし、ホームの利点もあります。地元の大声援を受け、本番で勝負強さを発揮してくれると期待しています」

実際、14日の1000mの試合を会場で取材したときも、韓国選手に対する声援の大きさには驚かされた。

前述の通り、イ・サンファは前日に出場を取りやめ、イ・サンファに並ぶ韓国の有力なメダル候補で「アイドル顔負けの美貌」とも称されるキム・ボルムも他種目エントリーのため不在だったが、大勢の観客が詰めかけ、パク・スンヒやキム・ヒョンヨンら韓国人選手たちに熱い声援を送っていた。

ともにメダルには届かなかったが、ショートトラックのメダリストからスピードスケートに転向したパク・スンヒは16位で有終の美を飾り、キム・ヒョンヨンは18位ながら前回出場したソチ五輪時(1000m 1分18秒10)よりも速い1分16秒36のタイムを記録。「観客たちの声援が力になった」と語っている。

果たして、ホームの期待と声援を背に、イ・サンファはどのような滑りを見せるか。日韓エース対決の行方に注目したい。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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