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宿命の日韓対決も。12月のE-1選手権に挑む韓国代表はどんな顔ぶれなのか

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
11月10日のコロンビア戦での韓国代表メンバー(写真:ロイター/アフロ)

12月8日から(男子は9日から)日本で開催されるサッカーの『EAFF E-1サッカー選手権』。開催国・日本、中国、韓国に加え、予選を勝ち上がってきた朝鮮民主主義人民共和国(以降、北朝鮮)の男女代表たちが東アジア・ナンバーワンの座をかけて戦うが、韓国代表のメンバーが昨日11月21日に発表になった。

メンバー発表の記者会見でチームを率いるシン・テヨン監督は開口一番に「優勝するために準備している」と語ったという。アジア最終予選で苦戦した前任者のウリ・シュティーリケ前監督の更迭を受けて、今年6月に代表監督に就任したシン・テヨン監督にとってはA代表を率いて初めて挑むコンペティション。ぜひタイトルを獲得したいところだろう。

何しろ最終予選途中に“火の中の栗を拾う覚悟”で韓国代表監督に就任し、なんとかロシア・ワールドカップ出場を決めても、なかなか評価は上がらなかった。それどころか一部でフース・ヒディンク再登板説まで浮上し、ファンやメディアの大炎上を受けて国政監査まで行われたほどである。

(参考記事:不振の韓国サッカー界で“ヒディンク再就任”騒動が国政監査にまで発展!? 炎上の背景とは)

そうした世論の猛反発と信頼失墜を受けて、韓国サッカー協会(KFA)も執行部の刷新を敢行。チョン・モンギュ会長が先頭になって改革に着手したが、その人事はかなり大胆なものとなった。

というのも、それまでの副会長や専務理事という重要ポストを総入れ替え。副会長には、97年ワールドカップ・アジア最終予選で三浦知良を徹底マークしたDFのチェ・ヨンイル氏、実務トップというべき専務理事のポジションにはあのホン・ミョンボ氏が就任した。

しかも、パク・チソン氏もユース戦略本部長という肩書でKFAに。パク・チソン氏がFIFAマスターコースを履修しサッカー・マネージメントの道に進むことは以前、本欄で行なったロンドンでの単独インタビューでも紹介したが、かつての“カリスマ”たちが韓国サッカーの信頼回復に乗り出すことになったのである。

こうした人事刷新の発表のあとに行われた11月のAマッチで、韓国はコロンビアに2-1で勝利。ソン・フンミン(トッテナム)の2ゴールでシン・テヨン監督になって初勝利を挙げている。ここ数か月、パク・チソン氏をはじめ多くの関係者たちが、選手たちの必死さやチームの一体感の欠如などを懸念していたが、それら問題を払拭するような内容でもあった。

(参考記事:英雄パク・チソンも気に掛ける「韓国サッカーが今、直面している問題」とは?)

続くセルビア戦でもク・ジャチョル(アウクスブルク)のPKで追いついて1-1で引き分けに。一時の危機的状況からは抜け出したものの『EAFF E-1サッカー選手権』に彼ら欧州組は参加しない。

■EAFF E-1サッカー選手権 韓国代表メンバー

GK:キム・スンギュ(神戸)、キム・ジンヒョン、チョ・ヒョンウ(大邱FC)

DF:チャン・ヒョンス(FC東京)、クォン・ギョンウォン(天津)、チョン・スンヒョン(鳥栖)、キム・ジンス(全北現代)、コ・ヨハン(ソウル)、キム・ミヌ(水原三星)、チェ・チョルスン(全北現代)、ユン・ヨンソン(尚州尚武)、キム・ミンジエ(全北現代)

MF:チョン・ウヨン、チュ・セジョン(ソウル)、ユン・インルロク(ソウル)、キム・ソンジュン(城南)、イ・ジェソン(全北現代)、イ・チャンミン(済州)、イ・グノ(江原)、ヨム・ギフン(水原)

FW:イ・ジョンヒョプ(釜山)、チン・ソンウク(済州)、キム・シンウク(全北現代)

予備エントリー:キム・ドンジュン(城南)、キム・ミンヒョク(鳥栖)、キム・ヨングォン(広州恒大)、ホン・チョル(尚州尚武)、キム・テファン(尚州尚武)、イ・スンギ(全北現代)、イ・チャンドン(済州)

発表されたメンバーを見ると、Kリーグ、中国リーグ、そしてJリーグでプレーする選手たちで大会に挑むことになる。

このうち、Kリーグのベスト・イレブンに選ばれたのは、チョ・ヒョンウ、キム・ミンジェ、キム・ジンス、チェ・チョルスン、ヨム・ギフン、イ・チャンミン、イ・グノ、イ・ジェソン(予備のイ・スンギ)。イ・ジェソンはKリーグ年間MVPにも輝いている。

久々の代表復帰は、ユン・ヨンソン、キム・ソンジュン、ユン・イルロク。チン・ソンウクは初の代表選出だ。

これらメンバーたちを使ってシン・テヨン監督はどんなサッカーを展開するのだろうか。というのも、ときに大胆な戦術・采配が裏目に出てきたのがシン・テヨン監督でもある。

(参考記事:“消防手”シン・テヨン監督は、なぜ韓国で今一つ信用されないのか?)

記者会見では「4-4-2で行くとは断言できない。相手と選手構成によって変化を与えていく」と語っているが、果たして…。

いずれにしてもEAFF E-1サッカー選手権には前回王者として挑むことになる韓国。12月16日には久々の日韓戦もある。ハリル・ジャパンとの対決が両国で大きな関心を集める一戦になることだけは、間違いないだろう。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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