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マスターズを羨望する韓国男子ゴルフ、隆盛に沸く韓国女子ゴルフ

慎武宏ライター/スポーツソウル日本版編集長
いよいよ始まったマスターズ。(写真:USA TODAY Sports/アフロ)

いよいよ開幕したマスターズ。男子ゴルフツアー今季初の海外メジャーに日本からは松山英樹が出場しているが、松山が大会前にPGAツアー公式サイトで紹介された優勝候補“パワーランキング”に11位に入ったこともあって、韓国メディアも「20名の優勝候補にアジア選手として唯一入ったのは日本の松山英樹(11位)だけだった」(『聯合ニュース』)と報じた。

そもそも松山の名が韓国で知られるようになったのは2014年頃からだった。「松山、日本ゴルフの新しい希望に」(『国民日報』)と報じられ、昨年10月に韓国で行われたプレジデンツカップでは『HREALDスポーツ』などが「松山英樹について私たちが知らなかったこと」と大特集を組み、その生い立ちからアメリカ生活まで詳しく紹介した。面白いところでは日本の政治情勢と絡めて松山の活躍が報じられたこともあったほどだ。

(参考記事:日本ゴルフ界の希望・松山英樹を韓国メディアはどう見ているのか

もっとも、松山に向けられる韓国の眼差しには羨望の感情も含まれている。韓国にもキム・キョンテやペ・サンムン、さらにはベテランのチェ・ギョンジュなどの有名男子プロがいるが、キム・キョンテ、チェ・ギョンジュは世界ランク上位50位以内に入れず、かつて日本ツアー賞金王にも輝き、PGAツアー2勝のペ・サンムンは兵役のため出場できず。韓国から唯一出場するのは世界ランク26位のアン・ビョンフンだけなのだ。優勝争いどころか、アン・ビョンフン本人も「予選突破が第一目標」というだけに彼に寄せられている期待はさほど大きくない。

というよりも、韓国の男子ゴルフ自体が現在はかなり停滞気味でもある。韓国男子ゴルフは2008年の20大会・賞金総額114億ウォン(約11億円)をピークに、年々規模が縮小し、今季行われるKPGA(韓国プロゴルフ協会)の公式戦はわずか12試合。賞金総額も89億ウォン(約8億9000万円)にしかならないのだ。

(参考記事:下り坂を転がり続ける韓国男子ゴルフの悲しい現実

その停滞ぶりに見切りをつけて日本やヨーロッパなど国外ツアーに飛び出す選手も増えた。前出のアン・ビョンフンも昨季からヨーロピアンツアーで実績を積み、ランキングを上げて今回のマスターズ出場権を手にしたクチだが、韓国の男子プロゴルフツアーはかなり厳しいジリ貧状態にあるのだ。

皮肉なのはそんな男子ツアーとは対照的過ぎるほどに、韓国女子ゴルフツアーが隆盛の一途を突き進んでいることだ。今や世界トップクラスの逸材たちを次々と輩出するようになったKLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)の今季公式試合数は33大会・賞金総額212億ウォン(約21億円)と男子ツアーをはかるに凌ぐ規模に急成長している。かつてはKPGA傘下の女子部門に過ぎなかったが、今やKLPGAはアメリカ、日本に次ぐ世界3位の女子ツアーになっているのだ。

(参考記事:賞金総額は発足28年で251倍に…韓国女子ゴルフの急成長が止まらない!!

時差こそあるものの、奇しくもそのKLPGA国内開幕戦(すでに中国とベトナムで1試合ずつ開催)がマスターズと同じ4月7日にスタートしている。韓国の大手ポータルサイトが実施した国内開幕戦優勝予想では人気ゴルファー、アン・シネの名前も上位にランクインした。今季KLPGAは昨季5冠のチョン・インジがアメリカに渡ったため、「“ポスト”チョン・インジは誰か」がテーマになっているが、美女ゴルファーとして人気が高いアン・シネへの期待も大きいのだろう。

(参考記事:韓国ゴルフ界最高の超絶セクシークイーン、アン・シネがスゴい!!

ちなみにアン・シネは以前、韓国メディアが実施した「会ってみたい男子プロ」アンケートで、世界ランク1位のジェイソン・デイを挙げていた。アン・シネはジュニア時代にニュージーランド留学をしているが、その頃にジェイソン・デイと何らかの縁もあったしらい。今回のマスターズでも当然、ジェイソン・デイを応援するのだろうが、果たして――。

(参考記事:韓国女子ゴルファーが選ぶ、最も会いたい男子トッププロのベスト5は?)

いずれにしても世界のゴルフファンたちが熱視線を注ぐマスターズの季節がやって来た。これから早起きが続く週末になりそうだ。

ライター/スポーツソウル日本版編集長

1971年4月16日東京都生まれの在日コリアン3世。早稲田大学・大学院スポーツ科学科修了。著書『ヒディンク・コリアの真実』で02年度ミズノ・スポーツライター賞最優秀賞受賞。著書・訳書に『祖国と母国とフットボール』『パク・チソン自伝』『韓流スターたちの真実』など多数。KFA(韓国サッカー協会)、KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)、Kリーグなどの登録メディア。韓国のスポーツ新聞『スポーツソウル』日本版編集長も務めている。

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