Yahoo!ニュース

明日Jリーグ開幕! 本命は3クラブ。対抗は鹿島、注目は磐田、鳥栖。2016年を展望

清水英斗サッカーライター
ゼロックススーパーカップ2016より(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

2月27日、2016年のJリーグが開幕する。

ハッキリ言って、Jリーグの順位予想は難しい。

欧州のプレミアリーグでは、降格候補と見られた優勝オッズ5001倍のレスター・シティが、今シーズンの首位を走っていることで話題沸騰中だ。“5001倍”といえば、「ネッシーが存在した」「エルビス・プレスリーが生きていた」といった超常現象と同じオッズ。

昨年のラグビーW杯における日本の優勝オッズでさえ1001倍だったが、それを上回る超配当だ。言い換えれば、それほどサッカー界のビッグクラブを頂点としたピラミッドは、簡単には揺るがないと考えられている。

ところが、Jリーグはそうではない。

2011年に柏レイソルがJ2からの昇格クラブとして、いきなり優勝を果たした事実に代表されるように、このリーグは何が起きてもおかしくない。昨シーズンは広島が史上最高の勝ち点を取って年間優勝したが、戦力がゴソッと抜けて弱体化した“はず”の広島を、開幕前に優勝予想した人は、ほとんどいなかった。いつ、誰がレスターになってもおかしくない。それがJリーグだ。

その競争的なリーグについて、2016年シーズンの年間優勝を展望してみよう。

(予想)

1位 ガンバ大阪

2位 浦和レッズ

3位 サンフレッチェ広島

(対抗)

鹿島アントラーズ

(注目)

ジュビロ磐田、サガン鳥栖

G大阪が上積みに成功すれば、面白いことになる

ファーストステージで気になるのは、やはり前年度王者のサンフレッチェ広島だ。

3つのリスクがある。ACL参加による疲労、ドウグラスが抜けたことによる戦術の調整、そして、8月のリオ五輪までスーパーサブの浅野拓磨が何度か離脱すること。U-23世代は、五輪本大会だけでなく、5月のトゥーロン国際大会中も、チームを離れなければならない。その影響をいちばん強く受けるのは、浅野のスーパーサブ戦術を確立した広島だ。

広島は試合運びの巧さが際立つので、セカンドステージ以降、夏場の疲れを各チームが引きずるときは、順調に勝ち点を伸ばすに違いないが、不安因子のあるファーストステージをどこまで乗り切るか。ここがポイントだ。

そして、前年度2位のG大阪。

広島と違ってレギュラークラスの放出はなく、逆にアデミウソンや藤本淳吾といった興味深い補強を行った。

ゼロックスの広島戦では、あまり上手くいかなかったが、G大阪は新戦力の特徴を生かした中央のコンビネーションアタックの向上を図っている。昨シーズンは堅守速攻からサイドを突くパターンがメインだったが、新たなサッカーの方向性は、G大阪を勝負強いだけでなく、取りこぼしの少ないリーグ戦向きのチームに変えるかもしれない。

たとえば宇佐美貴史、アデミウソンらを同時起用して前半は相手を押し込み、後半に疲れてきたら昨季メンバーから倉田秋らを入れてカウンターに出るなど、ゲームプランも豊富に考えられる。うまくいけば、昨シーズンに物足りなかった攻撃力が爆発し、勝ち点を稼ぎやすいサッカーになる。その期待から、G大阪を優勝に予想した。

前年度3位の浦和レッズも、やはり上位に来るだろう。

G大阪と同じくレギュラー戦力の放出はなく、遠藤航やイリッチといった即戦力のピンポイント補強を行った。カウンターに脆弱な浦和の守備を変えるための個の力は、チームの状況に合った良い補強だ。当然、浦和も優勝候補として考えられる。

前半戦に強いのが浦和の特徴だ。ファーストステージは、昨年同様に順位表を引っ張る存在になるだろう。

そして、この3強を崩す可能性を秘める最大勢力が、鹿島アントラーズだ。

昨シーズンはトニーニョ・セレーゾ監督が解任され、石井正忠監督が就任してから、球際の強さ、組織的な守備の安定感が増した。また、揺れに揺れた金崎夢生が、今シーズンも鹿島でプレーすることは大きい。その事実だけで、鹿島を優勝予想に書き換えた人は、何人かいるのではないか。

鹿島の鍵を握るのは、攻撃のフィニッシュだろう。近年は点を取るタイプのFWが不足しており、層も厚くない。「どこからでも、誰でも点が取れる」のは長所とも考えられるが、一方、チーム全体が劣勢なときに、攻め手を失うリスクがある。

G大阪にはパトリックや宇佐美、浦和には興梠慎三や武藤雄樹、広島には佐藤寿人や浅野拓磨といった得点パターンを確立したFWがいるが、鹿島は点取り屋の存在が弱い。「点を取るFWがいる」ということは、頼るべき得点パターンがあるということ。苦しい試合では、絶対的FWの存在がモノを言う。大迫勇也以来のFWが覚醒するか。そこがポイントだ。

その他に気になるチームは、ジュビロ磐田とサガン鳥栖。

磐田は昇格クラブとは思えないほど戦力が充実しており、堅い守備と、鋭いカウンターを武器に戦える。鳥栖は、マガトが監督に就任すると騒がれていたが、結局のところ、ベストな選択に落ち着いた。フィッカデンティは、攻守のバランスを整えるのがうまい。リーグで躍進か、あるいは何らかのタイトルを獲得する可能性もある。

逆に、ネガティブな視点で気になっているのは、柏レイソルと湘南ベルマーレだ。

柏は昨シーズン、アカデミーダイレクターとして育成を確立した吉田達磨を監督に据えたが、続投はなく、今季限りで退任。クラブの方向性がふらふらとしており、心配なところ。近藤直也、キム・チャンス、鈴木大輔、工藤壮人、クリスティアーノと、選手も大量に放出した。

正直、どうなるのか予測を付けづらいが、柏はリスクが大きいシーズンになる。全体的に高さがなくなり、セットプレーなど空中戦に弱い印象も受ける。そこで勝ち点を落とすと、苦しい試合が続く。

湘南に関しては、チョウ・キジェ監督が最終的に残留を決めたことがビッグニュースだったが、その決断が遅かったためか、永木亮太や遠藤航ら、湘南チルドレンの流出が多すぎた。

湘南というクラブの規模を考えたとき、活躍した選手の移籍を止めることは難しいが、あまりにも一度に放出しすぎている。フィールドプレーヤーもさることながら、身体能力とセービング技術に長けたGK秋元陽太が、FC東京に移籍することが最も痛い。

チームやクラブの方向性が定まっている湘南だけに、ここで新陳代謝できるか否かは、もうひとつ上のレベルで、中期から長期に向けたクラブの戦略性が試される。そのようなシーズンと位置付けられるのではないか。

そんなこんなで、Jリーグは明日開幕する。浮き浮きとした気分と共に、今日は前夜祭を楽しもう。

サッカーライター

1979年12月1日生まれ、岐阜県下呂市出身。プレーヤー目線で試合を切り取るサッカーライター。新著『サッカー観戦力 プロでも見落とすワンランク上の視点』『サッカーは監督で決まる リーダーたちの統率術』。既刊は「サッカーDF&GK練習メニュー100」「居酒屋サッカー論」など。現在も週に1回はボールを蹴っており、海外取材に出かけた際には現地の人たちとサッカーを通じて触れ合うのが最大の楽しみとなっている。

清水英斗の最近の記事