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朝鮮半島情勢に「大胆な一歩」を予告…文大統領の演説から韓国政府の立場を読み解く

徐台教ソウル在住ジャーナリスト。『コリア・フォーカス』編集長
8月15日、光復節記念式典で演説する文在寅大統領。写真は青瓦台提供。

韓国の文在寅大統領は8月15日の光復節記念式典で、韓国の過去と現在、未来をつなぐ趣旨の演説を行った。とりわけ、朝鮮半島情勢に関する部分は現状をよく反映しているものであった。内容を整理する。

演説のパターンは去年ほとんど同じだ。過去の抗日運動に触れ光復は与えられたものではない点を強調し、未だ知られていない独立運動家を発掘し称賛する。その上で、現在の朝鮮半島情勢への認識を示し、その対応を論ずるというものだ。

今年のテーマは「女性」

昨年の演説との違いを上げると、まず女性独立運動家への言及が目を引いた。これはmetoo運動などを通じ明らかになった、女性への風当たりが強く、男性と平等な条件が保障されていない韓国社会の状況を反映したものだ。

今年3月1日「3.1独立運動記念日」の演説でもこうした姿勢は顕著だった。「建国の母」という表現を使い、女性に焦点を当てた。大統領選挙から「フェミニスト大統領」を自認してきた文大統領ならではと言えるだろう。

「日本は歴史を直視」「2045年に共同体完成」…文在寅大統領の3.1節演説を読み解く(全文訳付)

https://news.yahoo.co.jp/byline/seodaegyo/20180301-00082230/ 

だがここ数ヶ月間、堕胎を罪とする制度の改善を求める声や、盗撮という同じ性犯罪でも女性容疑者への処罰が強い問題などで、韓国内のフェミニスト運動が高まりを見せている中、今回の演説は物足りない印象が強く残る。3月1日の焼き直し以上ではなかった。個人的には過去の事例が現状の改善にどうつながるかを提示しておけばよかったのではないかと思う。

日本への言及は大きく変化

今年の演説では「日韓関係の障害物は過去の歴史それ自体ではなく歴史問題に対する日本政府の認識の浮沈にある」とまで言い切り「日本の指導者の勇気ある姿勢」を強く迫った昨年の演説とは異なり、国内向けかつマイルドな内容になったのが特徴だ。日本についての言及は2か所にとどまった。

まず「親日の歴史は決して私たちの歴史の主流ではなかった」という点だが、これは日本向けではなく、韓国国内向けの内容と読むべきものだ。国民に向け、植民地時代には日本との間に不断の闘いがあり、日本の占領に甘んじていなかったという認識の共有を求めている。

次は「安倍総理とも日韓関係を未来志向的に発展させていき、朝鮮半島と東北アジアの平和繁栄のために緊密に協力していくことした。その協力は結局、日朝関係の正常化に導いていく」という部分だ。

未来志向的という表現は昨年も出てきたが、それを阻むものとしての日本の歴史認識を問うことはせず、日朝国交正常化に向けた取り組みという2005年の「9.19共同声明」をほうふつとさせる表現を入れ、前向きな姿勢を貫いた。

なお、昨年の演説はこちらから読める。

[全訳] 第72周年 光復節 慶祝辞(2017年8月15日、文在寅大統領)

https://www.thekoreanpolitics.com/news/articleView.html?idxno=565

自負心はどこにつながるのか

次に目立ったのは、国民に対し自信を持つよう促した点だ。この日は韓国政府樹立70周年だったこともあり、「第二次世界大戦以降、植民地から解放された国のうちわが国のように経済成長と民主主義の発展に共に成功した国はない」、「世界10位圏の経済強国に加えろうそく革命で民主主義を生き返らせ全世界を驚嘆させた国、それが今日の大韓民国の姿だ」と自覚を強く求めた。

さらに「私たちは私たちの位相と力量を自ら過小評価する傾向がある。しかし外国に出てみると誰もが感じるように、韓国は多くの国が羨む成功した国であり、学ぼうとする国だ。その事実に私たち自身が自負心を持って欲しい」と畳み込んだ。こうした論調は文政権発足後、はじめてのことだ。

筆者も当初、こんな「韓国スゴイ」ということをことさら強調する理由は何か気になったが、その疑問は「その自負心をもって私たちは新しい70年の発展を作り上げていくべき」という一文で氷解した。北朝鮮との今後の関係において、自信を持って欲しいという現れだ。

歴代の国旗・太極旗を掲げる。デザインが時期により少しずつ異なっている。写真は青瓦台提供。
歴代の国旗・太極旗を掲げる。デザインが時期により少しずつ異なっている。写真は青瓦台提供。

「覚悟」を求める

昨年の光復節の演説でもっとも印象的な一文は以下のものだ。

朝鮮半島で再び戦争が起きてはいけません。

朝鮮半島での軍事行動は大韓民国だけが決めることができ、

誰も大韓民国の同意なく軍事行動を決定できません。

政府はすべてを賭けて戦争だけは防ぎます。

どんな紆余曲折を経ようとも北朝鮮の核問題は

必ず平和的に解決しなければなりません。

この発言について、文大統領の外交安保特別補佐を務める文正仁(ムン・ジョンイン)延世大教授は「米朝に対し、覚悟を決めて語ったもの」と先月、筆者とのインタビューで明かしている。

しかしそれから一年。北朝鮮は約9か月間、核・ミサイル実験の凍結を維持している。その間、南北は11年ぶりの首脳会談を通じ過去の南北関係の原則に立ち返ることに成功した。さらに米朝は史上初の首脳会談を行い朝鮮半島の非核化と新しい米朝関係、そして朝鮮半島での平和体制の構築に合意した。

だが、ここから先の朝鮮半島情勢は過去にないステージに進んでいく。文大統領はこの日、演説を通じそのための心構えを求めた。

次のステップは大きなものに

13日に行われた南北高官級会談を通じ、文大統領の3度目となる南北首脳会談が9月中に平壌で行われることが決まった。文大統領はこの会談を「ヤマ」と位置づけていると思われる。

これは、「板門店宣言の履行を首脳間で確認し朝鮮半島の完全な非核化とともに、終戦宣言と平和協定に向かうための大胆な一歩を踏み出すだろう」という演説の一文から理解できる。

さらに「南北間に(米朝よりも)より深い信頼関係を構築する」という一文、さらに「南北関係の発展は米朝関係の進展に付随する効果ではない。逆に、南北関係の発展こそが朝鮮半島の非核化を促進させる動力だ」という点からもその「覚悟」が見て取れる。

記念式典で国旗を振る文大統領夫妻(中央)。写真は青瓦台提供。
記念式典で国旗を振る文大統領夫妻(中央)。写真は青瓦台提供。

南北問題と核問題は「別」という考え方

「非核化あってこそ関係改善」という主張に慣れた日本の読者は、こうした韓国の立場はなかなかを理解できないと思う。だがそれは韓国の市民も同様だ。李明博・朴槿恵政権の9年で南北関係は冷却化したため「関係改善あっての非核化」という論理は引っ込んでしまったのが現状だからだ。

だが90年代末に金大中(キム・デジュン98〜03年)大統領が実行し、盧武鉉(ノ・ムヒョン03〜08年)政権、そして文在寅政権に受け継がれてきた太陽政策(包容政策)の要に「北朝鮮の核問題は南北関係の全てではない」という認識がある。

核問題は米朝という国際問題、朝鮮半島の冷戦構造が維持されていることに由来しており、これを解決するために韓国は米朝の間で信頼関係を強め対話を仲裁する努力をしていく。

一方で「統一を志向する特殊関係」としての南北関係は核問題とは別で、民族内部の問題として人道支援、経済交流などできることはやっていくというスタンスを持っている。

この両面性から「韓国の進歩派政権は融和的だ」と言われるのだが、韓国政府には「50年代から続いてきた南北の体制競争は、冷戦の終結と共に韓国の勝利でケリがついたので、これからは韓国が北朝鮮を助けていこう」という論理がある。

今後、終戦宣言の実現させるために韓国は多少ムチャをするかもしれないが、この大元になっている自信を政府と国民が共有し、動揺せずに進もうというのが、この日の演説の骨子と言える。

「過程としての統一」

さらに、今後の南北の目標も下記の引用部分から明らかになっている。

私たちの生存と繁栄のために

必ず分断を克服しなければなりません。

政治的な統一は遠いとしても、

南北間に平和を定着させ自由に往来し、

一つの経済共同体を成し遂げること、

それが私たちにとって真の光復です。

見たとおり「統一は遠い」とハッキリと述べている。経済協力を通じた「過程としての統一」が韓国の目指す道だ。そしてそれが「儲かる」という点もこの日の演説で文大統領は何度も強調しているのである。

演説の最後で文大統領は「楽観の力を私は信じる」と主張しているが、韓国がこれまで成し遂げてきた経済成長、民主化という歴史を信じるということに他ならない。

軍人として約30年韓国軍の戦略立案に尽力し、外交官、そして金大中政権時代に国家情報院長や統一部長官などを歴任し太陽政策の「生みの親」と言われる林東源(イム・ドンウォン)氏は今月、筆者のインタビューに対し「量的な蓄積が質的な変化に変わる時が来る。だが初めから質的な変化に言及すると何も始まらない」と、南北関係の難しさを説明した。

話がずいぶん大きくなってしまったが、この日の文大統領の演説は「朝鮮半島情勢の今」について非常に示唆的な内容になっている。ぜひ全文をご覧いただきたい。

[全訳]第73周年光復節慶祝辞[2018年8月15日]

尊敬する国民の皆さん、

独立有功者(功労者)の遺族の皆さん、

海外同胞の皆さん、

今日は光復73周年かつ

大韓民国政府樹立70周年を迎える

とても意味のある嬉しい日です。

独立の先烈たちの犠牲と献身で

私たちは今日を迎えることができました。

心の底から敬意を表します。

独立有功者と遺族の方々にも尊敬の言葉を捧げます。

旧韓末の義兵運動から始まった私たちの独立運動は

3.1運動を経て

国民の主権を求める熾烈な抗戦となりました。

大韓民国臨時政府を中心に

私たちの国を私たちの力で建設しようという

不屈の闘争を繰り広げました。

親日の歴史は決して私たちの歴史の主流ではありませんでした。

わが国民の独立運動は

世界のどの国よりも熾烈でした。

光復は決して外から与えられたものではありません。

先烈たちが死を恐れず共に闘い勝ち取った結果でした。

すべての国民が等しく力を合わせ成し遂げた光復でした。

そうして光復のその日、私たちは、

皆が一緒に大きな声で万歳を叫びました。

私たちはその事実に強い自尊心を持っても良いでしょう。

尊敬する国民の皆さん、

今日の光復節を記念するために

私たちが共にしているこの場所は

114年ぶりに国民の懐に戻ってきた

ようやく完全に私たちの土地となった

ソウルの心臓部・龍山(ヨンサン)です。

日帝による強制占領期に龍山は日本の軍事基地であり

朝鮮を搾取し支配する核心でした。

光復と共に龍山で

米韓同盟の歴史が始まりました。

韓国戦争(朝鮮戦争)以後、龍山は

朝鮮半島の平和を導いてきた基盤でした。

去る6月、在韓米軍司令部の平澤(ピョンテク)への移転で

米韓同盟はより強固に新たな時代を迎えました。

今後、龍山は

米国ニューヨークのセントラル・パークのような生態自然公園として

造成されるでしょう。

2005年に宣布された国家公園造成計画を

ついに本格的に推進できるようになりました。

大韓民国の首都ソウルの中心部で肺の役割を果たす

巨大な生態自然公園を想像すると

心が浮き立ちます。

これほどまでに私たちにとって痛ましい歴史と平和の意志、

美しい未来が共に込められているこの龍山で

今日の光復節の記念式を持つことができ

一層、意義深く思います。

尊敬する国民の皆さん、

龍山が長いあいだ

私たちの元に返ってこなかったように

発掘できず探すことのできない独立運動の歴史が

私たちを待っています。

特に女性の独立運動は

より深いところに埋まっています。

女性たちは家父長制と社会・経済的な不平等により

二重三重の差別を受けながらも

不屈の意志で独立運動に飛び込みました。

平壌の平原ゴム工場の女性労働者であったカン・ジュリョンは

1931年、日帝の一方的な賃金削減に反対し

高さ12メートルの乙密台の屋根に籠城し

「女性解放、労働開放」を叫びました。

当時、朝鮮の男性労働者の賃金は

日本の労働者の半分にも及ばず、

朝鮮の女性労働者はその半分にも満たないものでした。

死を覚悟した抵抗により志士は

出所後二月で亡くなってしまいましたが、

2007年建国勲章愛国章を受けました。

1932年済州舊左(クジャ)邑では、日帝の搾取に立ち向かい

コ・チャドン、キム・ゲソク、キム・オクリョン、プ・ドクリャン、プ・チュナ

5人の海女から始まった海女抗日運動が

済州各地の800人に拡散し、

3か月の間、述べ1万7000人が

238回に達する集会示威に参加しました。

今、クジャには済州海女抗日運動記念塔が建てられています。

政府は去年の光復節のあと一年間

女性独立運動家202人を探し

光復の歴史に堂々と名を連ねました。

その中で26人の方たちに

今回の光復節に叙勲と有功者褒賞を行うことになりました。

残る方々も続けて褒賞する予定です。

光復のためのあらゆる努力に

必ず正当な評価とそれに見合った礼遇を受けられるようにします。

政府は女性と男性の役割を離れ

どんな差別も無い独立運動の歴史を発掘することでしょう。

埋もれた独立運動史と独立運動家の完全な発掘こそが

もう一つの光復の完成だと信じます。

尊敬する国民の皆さん、

大韓民国はわが国民皆さんが

それぞれの場所で力を合わせ共に作り上げた国です。

政府樹立70周年を迎える今日、

大韓民国は世界的に誇らしい国になりました。

第二次世界大戦以降、植民地から解放された国のうち

わが国のように経済成長と民主主義の発展に

共に成功した国はありません。

世界10位圏の経済強国に加え

ろうそく革命で民主主義を生き返らせ

全世界を驚嘆させた国、

それが今日の大韓民国の姿です。

分断と残酷な戦争、尖鋭な南北対置の状況、

絶対的貧困、軍部独裁などあらゆる逆境をはねのけ成し遂げた

偉大な成果です。

未だ不足する部分は多いですが、

全世界でわが国ほど躍動的な発展を成し遂げた国が

多くないという事実だけは

誰も否定することはできないでしょう。

先代だけでなく、この時代を生きているあらゆる世代が

共に成し遂げました。

私たちは私たちの位相と力量を

自ら過小評価する傾向があります。

しかし外国に出てみると誰もが感じるように、

韓国は多くの国が羨む成功した国であり、

学ぼうとする国です。

その事実に私たち自身が自負心を持って欲しいです。

そしてその自負心をもって私たちは

新しい70年の発展を作り上げていくべきでしょう。

尊敬する国民の皆さん、

私たちは今、私たちの運命に自ら責任を持ち、

朝鮮半島の平和と繁栄に向かっています。

分断を克服するための道です。

分断は戦争の後にも国民の暮らしの中で

戦争の恐怖を日常化させました。

多くの若者たちの命を奪っていき、

莫大な経済的費用と力量の消耗をもたらしました。

京畿道と江原道の北部地域の開発は制限され、

西海5島の住民たちは豊穣な海を目の前にしても

操業することができませんでした。

分断は大韓民国を大陸から断絶された

島にしてしまいました。

分断は私たちの思考までも分断させました。

多くの禁忌が自由な思考を押し留めました。

分断は安全保障を打ち出した軍部独裁の名分となり、

国民を敵味方に分ける理念葛藤とレッテル貼りの政治、

地域主義政治のきっかけとなり、

特権と不正腐敗の温床になりました。

私たちの生存と繁栄のために

必ず分断を克服しなければなりません。

政治的な統一は遠いとしても、

南北間に平和を定着させ自由に往来し、

一つの経済共同体を成し遂げること、

それが私たちにとって真の光復です。

私は国民と共に

その道を大胆に歩いています。

全的に国民の力のおかげです。

私が就任後に訪問した

11の国、17の都市の人々は

ろうそく革命で民主主義と正義を生き返らせ

「国らしい国」を作っていくわが国民たちに

深い敬意の念を送りました。

それが国際的な支持を得られる強い力となりました。

真っ先にトランプ大統領と会い

米韓同盟を「偉大な同盟」に発展させることを合意しました。

平和的な方式により北朝鮮の核問題を解決することを取り決めました。

ドイツのメルケル総理をはじめG20の首脳たちも

わが政府の努力に全幅の支持を表明しました。

ASEAN国家も「共に良く暮らす平和共同体」を

共に作り上げることにしました。

習近平主席とは戦略的なパートナー関係を

より発展させることにし、

中国は今、朝鮮半島の平和に大きな役割を果たしています。

プーチン大統領とは南北露3国協力を

共に準備しています。

安倍総理とも日韓関係を未来志向的に発展させていき、

朝鮮半島と東北アジアの平和繁栄のために緊密に協力していくことにしました。

その協力は結局、日朝関係の正常化に導いていくでしょう。

「板門店宣言」はそのような国際的な支持の中で

南北共同の努力として成し遂げられたものです。

南と北は私たちが住む土地、空、海のどこにおいても

一切の敵対行為を中断することにしました。

いま、南北は軍事当局間の常時連絡チャンネルを復元し

日ごとに連絡しています。

「紛争の海」西海(黄海)は

軍事的な脅威が消えた「平和の海」に変わりつつあり、

共同繁栄の海に向かっています。

板門店共同警備区域の非武装化、

非武装地帯の監視哨ところの試験的撤収も

原則的に合意しました。

南北共同の以外発掘も行われるでしょう。

離散家族の再会も再開されました。

今後、相互代表部として発展することになる南北共同連絡事務所も

史上はじめて設置することになりました。

とても意味のある出来事です。

数日後には南北が24時間365日疎通する時代が

開かれるでしょう。

米朝首脳会談もやはり

共に平和と繁栄に向かっていくという

米朝両国の意志で実現しました。

朝鮮半島の平和と繁栄は両首脳が世界と交わした約束です。

北朝鮮の完全な非核化履行と

これに相応する米国の包括的な措置が

迅速に推進されることを願います。

尊敬する国民の皆さん

二日前の南北高官級会談を通じ

「板門店会談」で約束した、秋の首脳会談が合意されました。

来月、私はわが国民たちの気持ちを集め

平壌を訪問します。

「板門店宣言」の履行を首脳間で確認し

朝鮮半島の完全な非核化とともに

終戦宣言と平和協定に向かうための

大胆な一歩を踏み出すでしょう。

南北と米朝間の根深い不信が晴れるとき

互いの合意が真に履行されるでしょう。

南北間により深い信頼関係を構築します。

米朝間の非核化対話を促進する

主導的な努力も共に行っていきます。

私は朝鮮半島の問題において、私たちが主人という認識が

とても重要であると考えます。

南北関係の発展は

米朝関係の進展に付随する効果ではありません。

逆に、南北関係の発展こそが

朝鮮半島の非核化を促進させる動力です。

過去、南北関係が良かった時期に北朝鮮の核の脅威が減り

非核化の合意まで行うことができた歴史的な経験が

その事実を支えています。

完全な非核化と共に朝鮮半島に平和が定着してこそ

本格的な経済協力を行うことができます。

平和経済、経済共同体の夢を実現する時

私たちの経済は新たに跳躍することができます。

わが民族みなが、共によく暮らす日も近づくことでしょう。

国策機関(訳注:対外経済政策研究院)の研究によれば、

今後30年間南北の経済協力による経済的な効果は

最小限170兆ウォン(約17兆円)におよぶ展望です。

開城工業団地と金剛山観光の再開に

鉄道の連結と一部地下資源の開発事業を足した効果です。

南北間に全面的な経済協力が行われるとき

その効果は比較できないほどに大きくなるでしょう。

すでに金剛山観光で

8900人余りの雇用を作り出し

江原道高城の経済を飛躍させた経験があります。

開城工業団地は協力業者を含め

10万人に達する雇用の宝庫でした。

いま、坡州一帯の桑田碧海のような目覚ましい発展も

南北が平和であった時に行われました。

平和が経済です。

軍事的な緊張が緩和され平和が定着するならば

京畿道と江原道の接境地域に

統一経済特区を設置します。

多くの雇用と共に地域と中小企業が

画期的に発展する機会となることでしょう。

「板門店宣言」で合意した鉄道、道路の連結は

今年中に着工式を持つことが目標です。

鉄道と道路の連結は朝鮮半島共同繁栄の始まりです。

1951年、戦争防止、平和構築、経済再建という目標のもと

ヨーロッパ6カ国が「欧州石炭鉄鋼共同体」を創設しました。

この共同体がその後、欧州連合の母体となりました。

京義線と京元線の出発地であった龍山で

私は今日、東北アジア6カ国(訳注:南北日中露モンゴル)と米国が共に行う

「東アジア鉄道共同体」を提案します。

この共同体は私たちの経済の地平を北方大陸にまで広げ

東北アジアの相生繁栄の大動脈となり

東アジアエネルギー共同体と経済共同体につながるものです。

そしてこれは東北アジアの多者平和安保体制に向かう

出発点となるでしょう。

尊敬する国民の皆さん、

独立有功者と遺族の皆さん、

海外同胞の皆さん、

植民地から光復、

戦争を勝ち抜き、民主化と経済発展を成し遂げるまで

わが国民は常に最善を尽くしてきました。

国民たちが奇跡を作り、

大韓民国は公正で正義のある国に向け進んでいます。

独立の先烈たちと国民たちは

必ず光復が来るという希望の中で

互いに励まし苦難を克服しました。

朝鮮半島の非核化と経済再生という

平坦ではない過程が私たちを待ち受けていますが

これまでのように互いの手をしっかりと掴むならば

恐れるものはありません。

朝鮮半島の平和と繁栄は

私たちがどうするのかにかかっています。

楽観の力を私は信じます。

光復を作った勇気と意志が

私たちに分断を超える、平和と繁栄という

真の光復をもたらしてくれるでしょう。

ありがとうございます。

(翻訳:徐台教)

ソウル在住ジャーナリスト。『コリア・フォーカス』編集長

群馬県生まれの在日コリアン3世。1999年からソウルに住み人権NGO代表や日本メディアの記者として朝鮮半島問題に関わる。2015年韓国に「永住帰国」すると同時に独立。16年10月から半年以上「ろうそくデモ」と朴槿恵大統領弾劾に伴う大統領選挙を密着取材。17年5月に韓国政治、南北関係など朝鮮半島情勢を扱う『コリアン・ポリティクス』を創刊。20年2月に朝鮮半島と日本の社会問題を解決するメディア『ニュースタンス』への転換を経て、23年9月から再び朝鮮半島情勢に焦点を当てる『コリア・フォーカス』にリニューアル。ソウル外国人特派員協会(SFCC)正会員。22年「第7回鶴峰賞言論部門優秀賞」受賞。

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