新型コロナ、学校に必要なこと。卒業式はやる?休校にすると授業が足りない?

卒業式はやるとしても短くしよう(写真:アフロ)

 新型コロナウイルスをめぐって、学校、教育行政でも対応が迫られている。北海道教育委員会は、知事からの要請もあり、道内の全公立小中学校に休校を呼びかけた(日数は今後詰めるという、時事通信2020年2月26日)。男子中学生が感染しているのがわかった金沢市の中学校では、来月5日まで休校することになった。

 この記事では、コロナウイルス対策に関連して、学校や教育行政に考えてほしいこと、実行してほしいことをお伝えしたい。具体的には3点。1)休校はだれが決めるのか、2)卒業式等をどうするか、3)授業時数確保をどう考えるかについて解説する。

 医療関係者のみならず、学校や教育行政の関係者も、日々、対策や調整、児童生徒へのケア等にたいへんご尽力いただいている。このことに感謝申し上げたうえでのコメントとご理解いただきたい。わたしのコメントは、既に教育委員会等にとってはよく知っていることかもしれないが、確認のためと、保護者等の理解を広げるために、この記事を書いた。なお、わたしは医学や感染症は素人なので、その点のコメントはできない。

■そもそも、休校はだれが決めるものなのか?

 学校保健安全法によると、「第十九条 校長は、感染症にかかつており、かかつている疑いがあり、又はかかるおそれのある児童生徒等があるときは、政令で定めるところにより、出席を停止させることができる。」、「第二十条 学校の設置者は、感染症の予防上必要があるときは、臨時に、学校の全部又は一部の休業を行うことができる。」とある。

 なので、児童生徒に出席停止を指示するのは校長で、学級閉鎖や臨時休校は設置者が決めることに基本的にはなる(なお、各学校個別については、規則等で校長にも権限がある地域もあるようです)。設置者というのは、たとえば、北海道でいうと、札幌市立小中学校なら、札幌市教育委員会に権限があり、道教委にはない(道教委が設置者なのは道立学校)。だから、上記記事の道教委も「呼びかけ」にとどまっている。文科省にも権限はない。

 教育委員会や校長らとしては、早く政府(文科省、厚労省など)から具体的な指示を出してくれ、という気持ちかもしれないが、設置者の教委がもっとも重要であることは確認したい。言い換えると、教育委員会の危機管理の体制や意識が強く影響する話ということだ。

 どのくらいで休校にするべきといったことは、わたしにはコメントできないが、都道府県からの指示を待ってからといった姿勢では、「学校は感染拡大を助長した」という批判があとでやってくるかもしれない。

 熊本市教育委員会は、全国に先駆けて、休校にする基準等を明確にして、周知している。児童生徒または教職員、保護者が罹患した場合などは、休校にするという。

https://www.city.kumamoto.jp/hpKiji/pub/detail.aspx?c_id=5&id=27151&class_set_id=2&class_id=64

■卒業式など大事な行事が目白押しなんです! ⇒ ムリに開催しないでいい。やるとしても縮小しよう。

 卒業式等をどうするかも悩ましい話だ。

 

 今回のコロナでは、子どもたちが重症になるリスクは低いと見られている。中国疾病対策センターが今月17日付で発表した大規模な発症例の分析結果によると、全体の致死率は2・3%だったが、年代別で見ると▽10代から30代が0・2%▽40代が0・4%▽50代が1・3%▽60代が3・6%▽70代が8%▽80代が14・8%――と、年齢が高いほど致死率が高まる傾向がみられた(毎日新聞2020年2月20日)。

 とはいえ、この手の情報は今後修正される可能性もあるし、こわいのは、たとえ、児童生徒が重症にならなくても、経由して地域に感染が広がり、お年寄り等が危なくなることだ。

 罹患者がいる地域などでは、卒業式や入学式を中止または延期も考えていく話だろう。そうでない地域であっても、縮小していくのもひとつだと思う。小6や中3のみにして、校長からのメッセージ、証書授与は代表者のみ、以上。これだと10分もかからないだろう(換気も忘れずに)。

 都立学校では、卒業式の規模を縮小する方針だという(毎日新聞2020年2月26日)。この例のように、保護者の参加も認めないというのは、理解できる。保護者のほうが重症化するリスクが少し高いし、卒業式は保護者のためのものではないからだ。

行事の保護者席(写真素材:photoAC)
行事の保護者席(写真素材:photoAC)

 もともと、卒業式の準備に何時間もかけるのがいいのだろうか、という話は、働き方改革、業務改善の文脈でも、わたしは校長等によくお話してきた。今回のをひとつのきっかけに、行事のあり方を見つめ直したい。学習指導要領にも、卒業式などについて、細かくああしろ、こうしろといった記述はほとんどない。

■休校にすると、授業時間が足りなくなります ⇒ OKです

 学校にとって、心配なことのひとつは、休校や学級閉鎖にすると、授業時間が足りない、教科書を終えられないということだろう。

 結論から述べると、授業時数は不足しても、法的な問題はない。学習指導要領では標準時数といって、たとえば、中学校は年間1015時間(1時間単位は中学校の場合は50分)と定まっており、これ以上は授業をしてね、ということになっている。だが、文科省も以下のとおり述べている。

標準授業時数を踏まえて教育課程を編成したものの災害や流行性疾患による学級閉鎖等の不測の事態により当該授業時数を下回った場合,下回ったことのみをもって学校教育法施行規則に反するとされるものではなく,災害や流行性疾患による学級閉鎖等の不測の事態に備えることのみを過剰に意識して標準授業時数を大幅に上回って教育課程を編成する必要はない。

出典:平成30年度公立小・中学校等における教育課程の編成・実施状況調査の結果及び平成31年度以降の教育課程の編成・実施について(平成31年3月29日)

 同じ内容は学習指導要領の総則の解説にもある。つまり、感染症など不測の事態のときは、標準時数を下回っても仕方ないよね、ということだ。なお、来年度の教育課程編成も、標準よりもたくさんの授業時数を予定しなくていい。

 授業時数確保よりも、児童生徒の安全、健康のほうがはるかに大事なので、当たり前の話ではあるが。

 教科書も、ここの箇所は自習にするとか、ここは次年度に繰り越して学習するといった対応があっても仕方ないだろう。

 先生方は、すでに対応されているかもしれないが、休校になる可能性があることを想定した準備、授業進行が必要になるだろう。春休み中の宿題などを前倒しで渡してもいいかもしれない。そもそも習熟度や意欲にばらつきがあるのに、みな同じ宿題というのはどうなのか、という論点もあるが。

 長い日数が休校などになると、児童生徒の学習意欲や家庭状況によって、子どもたちの学習にかなり差がついてしまうことは予想される。夏休み中と似た話である。自習課題や宿題を出すときも、そのことを改めて留意したものにしたい。

 おそらく、(わたしがここに書かなくても)教員の多くは、休校中も、ときどき児童生徒に電話などをして様子を聞くのではないか。ちょっとした声がけが、子どもたちにも大事になるように思う。本当はGIGAスクールが早く実現されていて、一人一台PCなどがあれば(家庭のWi-Fi環境も必要だが)、オンライン上で進ちょく確認したり、コメントをしたり、テレビ会議で励ましたりもできるのだが、まだ多くの学校は昭和なままだ。。。

 また、学校が休みになっても、保護者の多くは仕事があり、家に子どもだけでは不安という声も多い。学童保育なども休みになる可能性が高い。リモートワークが認められるなど、社会の側の対応、協力も併せて重要だ。

 

 以上、釈迦に説法のところもあったかもしれないが、お話しした。情勢は日々更新されるが、必要なところがあれば、ぜひ多くの教育委員会、学校が動いてほしい。