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ウクライナ軍のFPV神風ドローン、草原に無防備に置かれたロシア軍の対戦車地雷の備蓄に突っ込み破壊

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

「上空からのリモート地雷除去」

2023年10月にウクライナ軍がFPV神風ドローンで草原に大量に備蓄されていたロシア軍の対戦車地雷TM-62に突っ込んでいき大爆破する動画を公開していた。ウクライナ軍は「リモート地雷除去」と公式SNSでは表現している。またウクライナ軍はロシア軍が備蓄している対戦車地雷と伝えているが、上空のドローンから見ると草原に無防備に大量に置かれていて、まるで放置したままのようであり、簡単に標的に突っ込んでいくことができそうである。

対戦車地雷に突っ込んでいき爆発するシーンをFPV(ファースト・パーソン・ビュー)で撮影していた。FPVはドローンに搭載されたカメラからの風景が操縦者に見える。上空からも見えるように草原に備蓄されていた対戦車地雷の周りには兵士は誰もいなかったようだ。別のドローンが上空から爆破する様子も撮影している。

2022年2月にロシア軍がウクライナに侵攻してから、ロシア軍は大量の対人地雷、戦車用の地雷をウクライナの最前線に設置している。ロシアは対人地雷の使用、生産、移譲などを禁止しているオタワ条約(対人地雷全面禁止条約)に加盟していない。

多くのウクライナ兵や一般市民が対人地雷や対戦車地雷の犠牲になっている。対人地雷では殺害されることはほとんどないが、手足が吹っ飛んでしまう。また小型のおもちゃのようにも見える対人地雷は子供や一般市民が拾ってしまい、爆発したら手足が吹っ飛んでしまう大けがをすることになる。地雷の他にも不発弾や、迎撃されたが上空で爆発しないで墜落した「爆弾を搭載した神風ドローン」なども地上に散乱しており、それらも何も知らずに踏んだり触ったりしてしまうと爆発する危険性がある。

対戦車地雷は戦車を撃破することを目的にしているので破壊力も強い。ウクライナ軍やウクライナ政府の職員らは地雷除去を行っているが、人間の兵士が探知した地雷を丁寧に爆破して除去している。人間の兵士が地雷を探知して除去するのは大変な作業で危険を伴っている。リモートでの地雷除去車もあるが、まだ足りていない。そのためほとんどの地雷は人間の兵士が破壊している。

今回のように草原に備蓄されている対戦車地雷は上空からもすぐに見つけられる。このようなケースはまれであり、地雷の多くは茂みの中や草などに隠して設置されている。茂みなどに隠れた地雷に気が付かないで触れてしまい爆発する。

ウクライナ軍では上空からドローンで見つけた地雷はドローンから爆弾を投下して爆破させたりして破壊することもある。ウクライナ軍では日頃から小型民生品ドローンに爆弾を搭載してロシア軍の軍事施設や塹壕に投下して爆破させたり、神風ドローンで標的に突っ込んでいき爆発させたりしている。戦車やトラックのように動いているものをめがけてドローンで追いかけて突っ込んでいくのに比べると不動の地雷に爆弾を投下するのも突っ込んでいくのもたいして難しいことではない。今回のように神風ドローンで草原に備蓄されている対戦車地雷に突っ込んでいくのは珍しい。爆弾を搭載したドローンから爆弾を地雷に投下すれば何回でもドローンは使用できるが、神風ドローンは1回使用してしまったら標的と一緒に爆発するので再利用はできない。

▼FPV神風ドローンで草原に備蓄(放置)されたロシア軍の対戦車地雷に突っ込んでいき大爆破

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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