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ウクライナ軍のFPV神風ドローン「操縦スキルが向上したら動いている戦車などを破壊できるようになる」

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

「操縦に慣れるまでは塹壕や監視塔など停止している標的を攻撃」

2023年9月に欧州のメディアのラジオ・フリー・ヨーロッパがウクライナ軍のドローン部隊の最前線での様子を動画で報じていた。ウクライナ軍のドローン部隊では、塹壕などでドローン飛行のために必要な通信設備などを設置してからゴーグルを使用してFPV(ファースト・パーソン・ビュー)でドローンを操縦してロシア軍の軍事設備などを標的にして突っ込んでいき攻撃を行っている。いわゆる神風ドローンである。

標的に突っ込んでいき爆発するシーンをFPV(ファースト・パーソン・ビュー)で撮影していることも多い。FPVはドローンに搭載されたカメラからの風景が操縦者に見える。このようなFPV神風ドローンでウクライナ軍は日々ロシア軍の軍事設備を破壊している。

塹壕などオペレーションを行っている最前線近くで3Dプリンターでドローンの部品を製造して、製造されたドローンに爆弾を搭載してすぐに使用している。ロシア軍が多く使用しているイラン製軍事ドローン「シャハド」と違って、小型民生品ドローンに爆弾を搭載して標的に向かって突っ込んでいく簡易なFPV神風ドローンである。

ウクライナ兵は「FPV神風ドローンは最初は攻撃に成功しなかったので、効果がない兵器と思っていましたが、操縦する兵士たちが攻撃を重ねていくうちにFPV神風ドローン操縦の技術力も向上していきました。最初は塹壕とか監視塔とか停止している標的しか攻撃できませんでした。そのような標的を攻撃するところから始めて、その後、輸送車や戦車など動いている標的にも突っ込んでいき攻撃を行うことができるようになりました」と語っていた。

ウクライナ軍のFPV神風ドローンは毎日のようにロシア軍の塹壕や監視塔といった停止している標的を攻撃して破壊しているし、輸送車や戦車など動いている標的も捉えて攻撃して破壊している。塹壕や監視塔といった動かない標的は操縦に不慣れな初心者のパイロットでも攻撃を行うことができる。動いている標的を攻撃するのは操縦するスキルが求められる。経験を積み重ねていくうちに戦車など動いている標的をFPV神風ドローンで破壊できるようになる。

▼FPV神風ドローン操縦部隊を紹介するラジオ・フリー・ヨーロッパ

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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