赤十字国際委員会の委員長のペーター・マウラー氏は、世界経済フォーラムのアジェンダとして「2022年の人道上の解決しなければならない6つの社会的課題(Here are 6 humanitarian issues that must be addressed in 2022)」を掲げた。

その中の1つとして「人間による兵器のコントロール(Maintaining humancontrol)」を掲げて、自律型殺傷兵器の開発と使用の禁止を訴えている。AI(人工知能)技術の発展とロボット技術の向上によって、軍事でのロボット活用は進んでいる。戦場の無人化が進むとともに「キラーロボット」と称される人間の判断を介さないで攻撃を行う自律型殺傷兵器が開発されようとしている。

マウラー氏は「自律型殺傷兵器は世界中での戦争の在り方を変えます。人間の判断なしで人間を標的にした攻撃が行われます。技術力の発展によって新たな兵器が登場してきますが、とても脅威です。このような自律型殺傷兵器の拡散を止めないと、戦場だけでなく社会が荒廃してしまいます。すぐにでも自律型殺傷兵器の開発や使用の禁止に向けた有効な手段を国際社会はとらないといけません」と伝えている。

キラーロボット開発と使用禁止に向けた動画も制作

2021年12月にスイスのジュネーブで国連の特定通常兵器使用禁止制限条約(Convention on Certain Conventional Weapons: CCW)の会議が開催されて、自律型殺傷兵器について議論されていた。この会合で、赤十字国際委員会は自律型殺傷兵器の開発と一般市民(非戦闘員)を標的にした攻撃の禁止を訴えていた。マウラー氏は、人間の生死の判断を人間の軍人ではなくてロボットやソフトウェアが行うことの非人道性と倫理的な懸念から、国際人道法による自律型殺傷兵器の開発や使用の禁止を訴えていた。

CCWの会合の前には赤十字国際委員会はキラーロボットの脅威を訴える動画「What are the dangers of autonomous weapons?」を制作。動画の中で赤十字国際委員会はアルゴリズムが人間の生死を決めるべきではないことを主張。また多くの政府が自律型殺傷兵器の開発を進めようとしていることを懸念、キラーロボットが戦闘員だけでなく一般市民も標的にしうることの脅威も伝えている。戦争やキラーロボットの使用されるイメージを動画で視覚的に訴えている。