ドイツ 高齢のホロコースト生存者15万人に1人16万円:コロナでの生活支援金提供
第二次世界大戦時にナチスドイツが約600万人のユダヤ人を殺害した、いわゆるホロコースト。戦後70年以上が経ち、当時の生存者たちも高齢化が進んでいる。
ドイツ政府はホロコースト生存者約15万人に1人1400ドル(約16万円)支給することをユダヤ人対独物的請求会議が明らかにした。今回の資金はトータルで2000万ドル(約2.3億円)で2022年末までに支給する。
今回の資金は新型コロナウィルスの感染拡大に伴って高齢のホロコースト生存者が病院に行ってワクチン接種を受けたり、家族から隔離されて困窮した生活をしたりしていることから生活支援を行っていくために提供される。
ホロコースト生存者の証言で「記憶のデジタル化」を
ホロコースト当時のことを知っている人も少なくなってきており、近い将来にはゼロになる。そのため現在、欧米やイスラエルでは「ホロコーストの記憶のデジタル化」が進められており、当時の映像や写真、ホロコースト生存者のユダヤ人らの体験記のインタビュー動画をネットで公開したり、ホログラムによる生存者とのリアルタイムの会話ができたりデジタル化された生存者の記憶がホロコースト教育などにも積極的に活用されている。
欧米や中東では今でも反ユダヤ主義が根強く、「ホロコーストは存在しなかった」「ユダヤ人は600万人も殺害されていない」といったホロコースト否定論も多く、ホロコースト生存者らがいなくなってしまっては、本当にホロコーストはなかったというホロコースト否定主義が正しい歴史になってしまう、いわゆる歴史修正主義が広まってしまうことを多くのユダヤ人が懸念している。
高齢化が進んだホロコースト生存者が心身とも健康なうちに1つでも多くの証言や体験を収録してデジタル化して後世にホロコーストの歴史を伝えようとしており、これから10年が勝負である。そのためにも高齢のホロコースト生存者が新型コロナウィルス感染拡大で多く死亡していったり、孤独な困難な生活の現状をなんとか食い止めたいところである。