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イスラエル新体操金メダル ユダヤ民謡「ハバ・ナギラ」に合わせてリボン披露:世界中のユダヤ人も歓喜

佐藤仁学術研究員・著述家
東京五輪でリボンを披露するイスラエルのリノイ・アシュラム選手(写真:ロイター/アフロ)

2021年8月7日に、東京オリンピックの新体操で、個人総合決勝で、イスラエルのリノイ・アシュラム選手が金メダルを獲得した。ロシア勢を制したことなどが日本でもニュースで報じられていた。

イスラエルの多くのメディアや世界のユダヤ系のメディアはもちろん、一般のメディアでもアシュラム選手がユダヤの民族曲「ハバ・ナギラ」に合わせてリボンを披露していたことにも注目して多く報じていた。

アシュラム選手は以前からリボンでは「ハバ・ナギラ」の音楽に合わせて披露していた。世界中のユダヤ人にとって、ヘブライ語の民謡でユダヤ人の様々なお祝い事などのイベントの時などにも披露される同曲に合わせてリボンを披露する姿に心が打たれていたようだ。世界中に離散しているユダヤ人だが、この「ハバ・ナギラ」は東欧のユダヤ人にとっては特になじみ深い。アメリカの新体操選手で、ユダヤ系のアリー・レイズマン選手も以前に新体操の演技で「ハバ・ナギラ」の楽曲に合わせて披露していた。

また「ハバ・ナギラ」はユダヤを代表する楽曲としてホロコースト映画などでユダヤ人が出てくるシーンでもよく使われている。完全なフィクションだが、アマゾンプライムで配信されていた「ナチ・ハンターズ」でも、強制収容所でユダヤ人囚人らの楽団が収容されているユダヤ人のために、ナチス親衛隊の看守の命令に背いて「ハバ・ナギラ」の演奏を続けて、看守の怒りを買ってその場で殺害されるというシーンを見たことがある人も多いだろう。

ホロコースト映画に利用される際は、同曲も暗く寂しい印象で演奏されることが多いが、今回のオリンピックの時や、お祝いのイベントなどでは明るく演奏されることが多い。

▼様々なパターンで披露される「ハバ・ナギラ」

東京五輪でリボンを披露するイスラエルのリノイ・アシュラム選手

写真:ロイター/アフロ

写真:ロイター/アフロ

写真:ロイター/アフロ

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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