コロナ拡大で増加する女子の児童婚:ユニセフが国際女性デーに調査
2030年までに1000万件の児童婚が発生
ユニセフ(国連児童基金)は2021年3月8日の国際女性デーに『COVID-19:児童婚の進展への脅威(原題:COVID-19: A threat to progress against child marriage)』というレポートを発表した。レポートによると2030年までに1000万件の児童婚が発生すると懸念を示している。
特に新型コロナウィルス感染拡大に伴って、学校が休校になり、オンライン授業を受けられず、また家庭が貧しくてコロナの影響で両親らが失職したりするなどで、最も脆弱な立場にある女子の児童婚が増加することを予測している。女子の児童婚は長年の風習もあり、なかなか根絶できない。それでも過去10年で児童婚した女子は15%減少していたが、新型コロナウィルス感染拡大による生活環境の変化と経済的な貧困によって、児童婚が増加するだろうと予測している。
児童婚した女子は結婚したら、労働力として使われることが多く、家庭内暴力を受けることも多い。また学校教育は終了してしまう。さらに早すぎる妊娠などで母体をリスクに晒すことも多い。現在、6億5000万人の女子が子供のうちに結婚している。そのうち約半数がバングラディッシュ、インド、ナイジェリア、エチオピア、ブラジルとユニセフは推定している。
学校が休校でもオンライン学習も受けられない子供たち
日本でも新型コロナウィルス感染拡大によって2020年には多くの学校が休校になり、オンライン学習が導入された。小中学校は再開したが、大学では今でもオンライン学習が主流だ。日本だけでなく世界中で新型コロナウィルス感染拡大によって学校が閉鎖され、オンライン学習やリモート学習が導入されたが、特に途上国では自宅にネットの回線がないこと、パソコンだけでなく学習用のスマホやタブレットを所有していないこと、たとえスマホを所有していても長時間の授業を受けられるほどの通信費を払えない子供が多い。
そのような子供たちは学校が閉鎖されてしまうと、教育を受ける機会はゼロになってしまい、また家計を助けるために働かざるをえない。特に女子は学校に行かないで家計を助けるためだけでなく、家族の世話をするためにも働くことが多い。さらに様々な犯罪に巻き込まれる可能性もある。そして学校が再開されても、授業についていけなかったり、仕事をやめるわけにいかずに学校をやめてしまうことも多い。また、たとえスマホやタブレットなど機器や回線のデジタルツールが整備され、リモート学習が可能な環境になったとしても、家では家族が多くて、狭くて自分の部屋もなくてオンライン学習で授業を受けられない子供も多い。
さらに授業は学校で受けるものという思い込みがあり「家にいるなら働いて家計を助けろ」とリモート学習に対する理解を示さない保護者への対応も必要になってくる。日本では考えられないだろうが「女子が学校に行く必要はない」「女子に教育は必要ない」と本気で今でも思っている人が多い。そのためデジタルツールの整備が完了しても、家でリモート学習ができない現在の環境と保護者のリモート学習への理解を得ることへの対応が重要になってくる。
▼ユニセフが製作した国際女性デーのメッセージ動画