米国 ホロコースト時代の様子を描いた絵画をオンライン展示:高校生向け学習用に
第二次世界大戦時にナチスドイツが約600万人のユダヤ人を殺害した、いわゆるホロコースト。戦後70年以上が経ち、当時の生存者たちも高齢化が進んでいき、ホロコースト当時のことを知っている人も少なくなってきており、近い将来にはゼロになる。そのため現在、欧米やイスラエルでは「ホロコーストの記憶のデジタル化」が進められており、当時の映像や写真、ユダヤ人らの体験記のインタビュー動画をネットで公開したり、ホログラムによる生存者とのリアルタイムの会話ができたりデジタル化された生存者の記憶がホロコースト教育などにも積極的に活用されている。
米国のイーストベイホロコースト教育センターでは、オンラインで高校生向けのホロコースト教育のコンテンツの提供を開始した。同センターではホロコースト時代のゲットーでの生活や収容所での様子を描いた絵画をオンラインで展示して、ホロコーストの様子を伝えている。ホロコースト時代の絵画の展示は当時の写真や生存者の証言と同様にインパクトがある。
今までは地元の高校生が同センターを訪問してホロコースト教育の研修を受けていたが、新型コロナウィルス感染拡大によるロックダウンでの学校と教育センターの閉鎖で、今まで以上にオンラインでのコンテンツ提供に注力している。また同センターでは高校生向けのホロコースト教育に関して「絵画や写真などの芸術(Art)」「エッセイなどの執筆(Writing)」「生存者の証言などの動画(Video)」の分野で賞金500ドルをもらえるコンテストも行っている。ホロコースト時代の絵画によるホロコースト教育は高校生向けに提供しているが、13歳以上であれば世界中の誰も閲覧可能である。
同センターではホロコースト教育におけるデジタル化や映像の活用には積極的で、2021年4月に公開されるノルウェー映画で、ナチス時代のノルウェーのレジスタンスの家族の物語で、子供たちが隠れているユダヤ人を見つけてスウェーデンに逃すという物語の映画「The Crossing」のスポンサーにもなっている。さらに戦前のチェコスロバキアでの2人のユダヤ人の子供をテーマにしたドキュメンタリー映画「Inside Hana’s Suitcase」のスポンサーもしている。また、ホロコーストをテーマにしたバーチャル舞台も制作している。
▼映画「The Crossing」オフィシャルトレーラー
▼ドキュメンタリー映画「Inside Hana’s Suitcase」