イスラエル、建物内に侵入して顔認識で攻撃もできる自律型小型ドローンと犬型ロボット開発
イスラエルの軍事企業ラファエルは2020年12月にAI(人工知能)技術を搭載した小型ドローンとロボットが建物の中に侵入して作動する動画を公開した。小型ドローンと四足の犬のようなロボットが建物の中で自律して動作している。同社では都市型の戦争シナリオを想定して、人間の軍人が危険に巻き込まれるリスクを少しでも低減しようとしている。
ラファエル社のイノベーション・プログラム・センターでトップを務めるシュムエル・オランスキー氏は「我々は商業利用されているAIのプラットフォームを活用して、自律型で作動するシステムを統合しました。標的を自律的に判別することは長年にわたって世界中の空軍や海軍で進められてきましたが、歩兵部隊では進んでいませんでした」と語っている。
ラファエルが開発した小型ドローンは400グラムで15分間飛行することができて、顔認識機能も搭載されており、自律的に標的を判別することができる。また四足の犬のようなロボットは9キロまでの荷物を運ぶこともできて、2時間作動できる。小型ドローンも四足の犬型ロボットも攻撃能力を搭載しており殺傷能力がある。
小型ドローンと四足の犬型ロボットは人間の軍人が建物に侵入する前に、建物に入り、搭載されたカメラやセンサーで建物内の様子や気温などを遠隔地に伝えることができる。また人間の軍人が侵入してくるまで攻撃を行わないで待っていることもできる。同社は戦場における人間の軍人が命の危険に晒されることを少しでも低減するために、人間の軍人が敵の建物に入り、敵と戦うことを回避しようとしている。また顔認識機能も搭載しており、味方が捕虜になっている場合の救助の際にも利用できる。
AI技術の発展によって人間の判断を介さないで標的を攻撃して相手を殺傷してしまう「キラーロボット」と称される自律型殺傷兵器の開発が進んでいる。人間の判断を介さないで標的を攻撃して相手を殺傷することが非倫理的、非道徳的であるという理由から国際NGOや一部の国が自律型殺傷兵器の開発と使用には反対している。
だが、人間の軍人が戦場で命を落とすリスクは大幅に低減され、軍人の「人間の安全保障」の観点からは自律型殺傷兵器の方が良いとの見方もある。特に人間の判断を介さないことが非倫理的であると主張しているが、人間の判断の方が残虐なこともありうる。また自律型殺傷兵器が軍人と一般人の見分けができないから、誤って一般人を攻撃してしまうことも懸念されているが、顔認識機能も向上しているし、人間の目視による攻撃でも誤爆は過去にも多数ある。
▼ラファエル社が公開した自律型の小型ドローンと四足犬型ロボットが建物内に侵入する様子の動画