イスラエルとUAE 国交正常化に次いでサイバーセキュリティでも協力:イランからの攻撃を想定
2020年9月にイスラエルとアラブ首長国連邦(UAE)の国交正常化という歴史的な調印式が行われた。そのイスラエルとUAEがサイバーセキュリティにおいても連携強化を進めていくことを明らかにした。イスラエルとUAEでサイバーセキュリティにおける脅威の共有が行われた。さらにサイバー技術の共有を行っていく。今回のイスラエルとUAEの国交正常化に反対している国や集団からサイバー攻撃が行われる可能性が高い。具体的な国名は両国ともあげていないが、共通の脅威としてイランからのサイバー攻撃を想定していることは明らかである。
世界中の反ユダヤ主義者や周囲のアラブ諸国から常にサイバー攻撃の標的にされているイスラエルの方が圧倒的にサイバー技術においてはUAEよりも優位である。イスラエルはサイバーセキュリティ産業も盛んで2019年には65億ドル(約7000億円)の輸出規模である。イスラエルの国家サイバー機関のイーガル・ウンナ長官は「イスラエルとUAEはサイバー空間において、同じ脅威に晒されています。それは地域的な特性であり、さらに今回の国交正常化において共通の敵から攻撃を受けることになります。我々は経済面だけでなくサイバーセキュリティの技術においても関係を強化していきたいです」と語っていた。イスラエルとしてもUAEと国交正常化したことによって、両国でのオンラインでのやりとりも増加し、それに伴いUAEを踏み台にしてイスラエルにサイバー攻撃を行われることは回避したい。そのためにもUAEを支援してでも自国のサイバースペースの安全は確保したい。サイバーセキュリティの確保は、両国間の安全保障においても非常に重要である。
UAE側のカウンターパートにあたるモハメド・クワイティ氏は「UAEとイスラエルはサイバーセキュリティ分野での協力において、最初の一歩を踏み出すことができました。共通の脅威があり、両国で共有できることが多いので、イスラエルとのサイバーセキュリティでの協力は非常にポジティブです。UAEはランサムウェアの攻撃の標的にされるリスクが高いです」とコメントしていた。また同氏は、今後、両国で協力してサイバー攻撃対策の共同訓練などを実施していきたいと連携強化を強調して「イスラエルはサイバー技術において圧倒的に強い国なので、UAEにとっては大きな支援になるでしょう」とコメントしていた。