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トルコ軍「神風ドローン」500機導入 トルコで開発 敵の顔認識機能も搭載

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

 トルコ軍は500機の「神風ドローン」を導入したとトルコのメディアAndoluが報じた。トルコ軍が導入するのは、トルコの軍事メーカーSTM社のKargu-2というドローンで、ドローンが大群で上空を回遊し、敵や標的を見つけるとドローン自体が突っ込んでいき攻撃をしかけるタイプ。「Kamikaze drone」(神風ドローン)の名前の由来は神風特攻隊で、神風ドローンは一般的な名称として使われている。STM社のCEOのムラット・イクニチ氏は「神風ドローンのKarguには顔認識機能も搭載されており、特定の人物を検知することができます。また大量に空中を回遊しているドローンが攻撃を行うので短い時間で敵陣に大打撃を与えて破壊することが可能です」とトルコのHurriyet新聞で語っている。この神風ドローンは全てトルコ国内で開発、生産されている。

 神風ドローンのKargu-2は大群(一度に20機程度)で上空を回遊して、ドローンのセンサーとカメラで敵を察知し、顔認識機能も搭載している。ドローンの大群はいっせいに敵に突っ込むこともできるし、別々の場所に敵がいてもそれぞれに突っ込んで攻撃をすることができる。敵に突っ込むと大破するので再利用はできない。

 神風ドローンのオペレーションは人間の軍人が遠隔地で操作をして行うので、攻撃には人間の判断が入る。最近では攻撃に際して人間の判断が入らないでAI(人工知能)を搭載した兵器自身が標的を判断して攻撃を行う自律型殺傷兵器(Lethal Autonomous Weapon Systems:LAWS)の開発が懸念されている。神風ドローンのKargu-2は顔認識機能で敵を察知してから、遠隔地にいる人間が攻撃判断をしてから攻撃を行う。ドローンが察知してから、遠隔地の人間が判断するまでに時間差があり、敵を逃がしてしまったり逆襲されることもありうるので、自律型殺傷兵器のように敵を認識したら即座に攻撃を仕掛けられる方が効率が良いという意見もある。また、遠隔地にいるとはいえ神風ドローンに攻撃の判断を行い敵を殺害する人間にも精神的な負担がある。

 一方で、敵の攻撃に人間の判断が介さないで兵器が人間の生死を判断することは非倫理的、非道徳的だとNGOなどは主張して自律型殺傷兵器の開発に反対している。近い将来、神風ドローンが人間の判断を介さないで、自ら判断して敵の人間や標的を攻撃してくるようになるかもしれない。

▼STM社が公開しているKargu-2の紹介動画

▼STM社のKargu紹介動画

▼神風ドローン開発までのプロジェクト紹介動画

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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