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ロシア軍、2025年までにロボット軍を創設か

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

 ロシア軍が2025年までにAI(人工知能)を搭載したロボット軍を創設するかもしれないと中国のメディアChina Dailyが報じている。2017年9月にプーチン大統領は「AIはロシアの将来だけでなく、全世界にとって重要であり、AIはあらゆる国家にとってチャンスでもあり脅威でもある」と学生たちに向かって語っていた。

 報道によるとロシアは2020年にロボット軍のフレームワークを設計し、2025年までには実用化を目指す。自律型で走行する乗り物、人間型のロボット、ロボットが運用する複合的なコマンドシステムの開発と導入を予定している。ロシアはシリアにおいてロボットマシンを試験的に導入していた。

 軍事におけるAIの導入と活用は各国で積極的に進められており、AI技術力を有する米中が圧倒的に優位とみられている。AIを搭載したロボット軍によって、戦場での戦い方も大きく変わる。人間の判断を介せずにロボット自身の判断による攻撃によって人間の命が奪われることがある。またAIを搭載したロボット軍同士が人類を破壊するかもしいれないという懸念もあり、倫理・道徳面からロボット兵器の導入に対しては反対の声も大きい。

 一方で、人間の軍人に比べてコストもかからないうえに24時間戦えて、疲れない、文句を言わないロボット軍の導入によって、軍人が戦場に送られることがなくなる。軍人として戦場に派兵されるのは若者であり、彼らは国家の将来にとって重要なリソースである。軍や政府としては帰還軍人の社会復帰や退役軍人や遺族への年金などの社会問題やコストが解消されることも期待されている。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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