「ホロコースト時代にインスタがあったら?」13歳ユダヤ人少女の実話を元にインスタ開設:イスラエル

「Eva.stories」キャスト(Times of Israel提供)

ホロコーストの記憶の伝承を目的にインスタ開設

 第2次大戦時にナチスドイツが約600万人以上のユダヤ人、ロマ、政治犯らを虐殺した。いわゆるホロコーストだが、70年以上の時を経て、ホロコーストの生存者、経験者らは年々減少している。ホロコーストの記憶を次世代に伝えていこう、特に若者に伝えていこうという動きが欧米やイスラエルでは積極的だ。

 イスラエルのMati Kochavi氏と娘のMaya氏はホロコーストを若者に伝えるために、ホロコーストを実際に体験したハンガリーEva Heyman氏の実話をもとにインスタグラムで再現。Eva氏が体験した実話を元に数百万ドルをかけて映像を作成。スマホで自撮りをしながら当時の様子を伝えるというストーリーだが、本格的な映像で、そのまま映画にも使えそうな動画だ。

 1944年5月15日から7月9日にかけて、ハンガリーから43万人のユダヤ人がナチスの強制収容所に連行された。Eva氏もその1人。約600万人が犠牲になったホロコーストだが、ハンガリー系ユダヤ人の犠牲者は568,000人。

13歳で殺害されたEva(Yad Vashem提供)
13歳で殺害されたEva(Yad Vashem提供)

ネタニヤフ首相もフォロー呼びかけ

 「ホロコーストの時代にインスタグラムがあったなら?」というタイトルでインスタグラムで「Eva.stories」を開設した。1944年の少女のEvaが体験した平和な日々やナチスの侵攻によって生活が激変する様子、Evaの恐怖、不安、ゲットーのカオスなどがインスタグラムで伺える。Evaはアウシュビッツに移送されて戻ってくることはなかった。

 Kochavi氏は「イスラエル以外の国ではホロコーストの記憶が消滅しつつある。ホロコーストの記憶を伝承していくためにも何かしないといけないと思った。そこで1944年当時のハンガリーの少女がペンと紙ではなく、スマホを持っていたら、どういうことになるだろうかと思って、映像を製作した」とコメント。世界中の若者が多く利用しているインスタを活用してのホロコースト時代を想起させる映像は印象的で若者への訴求力もある。

テルアビブの街のビルボードも登場し、インスタのフォローを訴えている(Dan Balilty提供)
テルアビブの街のビルボードも登場し、インスタのフォローを訴えている(Dan Balilty提供)

非難の声も

 イスラエルのテルアビブでは教育的な使われ方を推進するために「Evaの物語をインスタでフォローしよう」というビルボードも登場。ネタニヤフ・イスラエル首相もフォローを呼びかけている。

 一方で、イスラエルではかわいい絵文字やスタンプ、セルフィーによる自撮り、スマホがなかった時代に実際にありえなかったであろう物語の構成(電気のなかったゲットーでどうやってスマホを充電していたのか等)などがホロコーストの犠牲者に対して失礼であるという非難の声も上がっている。それでもホロコースト時代の少女の生活と心情に焦点をあて、当時スマホとインスタがあったらという設定でのストーリーはインパクトはあり、既に70万以上のフォロワーがいる。

▼インスタでの「Eva.storie」に投稿されている動画のトレーラー