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Google、インドで子供向け言語習得アプリ「Bolo」提供:識字率向上で将来の収益向上へ

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

 Googleインドは、2019年3月にインドで小学生向けの言語学習アプリ「Bolo」の提供を開始した。子供たちがスマホを使って英語とヒンディー語を学習することができる。「Bolo」ではヒンディー語で50のストーリー、英語で40のストーリーがあり、それらを通じてそれぞれの言語の読解力や単語力を向上していくことが目的。アプリはネットに接続しなくても利用できる。

 Googleインドは、このアプリをウッタル・プラデーシュ州でトライアルを実施しており、その時64%の子供たちが3か月間で読解力が向上したと明らかにした。

 人口12億人以上を超えているインドだが、まだ識字率が低い。特に地方では、学校に行けないから文字を読めない人も多い。インドではスマホは急速に普及しているが、一方で文字が読めない人も多い。もしくは小学校しか出ていないから、文字は読めるが簡単な文章読解力しかない人も多い。

 Googleのビジネスモデルは検索と広告であり、広告のほとんどはテキストで表示されている。多くのインド人が文字が読めるようになって検索を行い、広告を認識できるようになるとGoogleの収益にもつながる。Googleのインドでの識字率向上を目指した言語習得アプリの提供は慈善事業ではなく、同社にとっても将来の重要な投資の1つである。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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