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元米国NSA局長マイケル・ロジャース氏、イスラエルのサイバーセキュリティ企業Team8に参画

佐藤仁学術研究員・著述家
(写真:ロイター/アフロ)

 米国の国家安全保障局(National Security Agency:NSA)の元局長のマイケル・S・ロジャース氏が2018年10月、イスラエルのサイバーセキュリティ企業Team8にシニアアドバイザーとして参画する。ロジャース氏は米サイバー軍司令官も兼務していたが、2018年5月にNSA局長を退任。NSAは通信傍受や暗号技術の開発などを実施しており、セキュリティ技術は世界最高水準と言われている。

8200部隊が設立したサイバーセキュリティ企業Team8

 Team8のCEOで共同設立者のNadav Zafrir氏はイスラエル軍の8200部隊出身。8200部隊とはイスラエル参謀本部の一部署で、同国のサイバー諜報活動やサイバー攻撃・防衛を担っている精鋭部隊だ。イスラエルはサイバーセキュリティに強く、同国のサイバーセキュリティ産業を支えている多くが8200部隊の出身者だ。8200部隊時代での経験を活かして、サイバーセキュリティ関連のスタートアップを立ち上げたり、そのスキルを活かして技術者として活躍している人が多く、Nadav Zafrir氏もその1人だ。

 Nadav Zafrir氏は「ロジャース氏のNSA局長時代の経験と知識は、Team8の将来にとって重要だ。現在のサイバーセキュリティ市場と将来起こりうるサイバー攻撃とのテクノロジーギャップを埋めてくれることだろう。ロジャース氏はNSA局長時代に、世界でも最もアグレッシブなサイバー戦争の最前線にいたので、サイバー戦争に関する幅広い知識と経験、サイバー攻撃のトレンドを理解している」と述べている。

 ロジャース氏は「私はイスラエルの8200部隊の優秀な人材と過去にも働いてきた。Team8に参画し、彼らのサイバーセキュリティのノウハウを生かして、世界規模で拡大しているサイバーの脅威に立ち向かって行きたい」と語っている。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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