モンスーンの豪雨と強風がロヒンギャ難民を襲う:水に起因する病気と高まる健康上のリスク
ユニセフがモンスーンの危機を訴え
ユニセフ(国連児童基金)によると、バングラデシュにモンスーン期が到来し、豪雨と強風がロヒンギャ難民キャンプと仮設居住地区を襲っている。それにともなって、 何千人もの子どもの健康と安全が脅かされている。モンスーン期のピークにあたる6月~8月のコックスバザールの降水量は2500mm以上になる予測。
難民キャンプがある場所の地盤は弱く、豪雨のせいで洪水と土砂災害が多数発生し、土砂災害で子ども1人が亡くなった。また強風で数百戸の仮設住居を損傷・損壊してしまい、そこに住んでいる人たちは住む家も失ってしまった。
ユニセフでは、20万人のロヒンギャ難民(うち50%以上が子ども)が、洪水と土砂災害の両方の危険に直面しており、そのうち25000人が最も高い危険に晒されていると推定している。
豪雨後にユニセフが実施した初期調査では、1万人近くの難民が直接的な被害を受けたことがわかった。65%が強風、27%(約4人に1人)が土砂災害、4%は深刻な浸水や洪水によって被災した。また、ユニセフによると難民キャンプ内の仮設住居約900戸、給水所15カ所、トイレ200基、ユニセフが支援する保健施設2棟、食糧配給所2カ所に損傷・損壊の被害が出ていると推定。現在、施設の復旧作業が行われているが、難民キャンプに続く道路のほとんどは浸水し、最大の仮設居住地区を横断する主要な軍事車両用道路は、医療用車両のみの通行が許されている状況。
ユニセフのバングラデシュ事務所代表エドゥアルド・ ベイグベデル氏は「雨が降り続き、地下水位が急上昇する中、何千人もの子どもたちとその家族が暮らす仮設住居が建つ丘陵地帯には、その砂質土壌を支える木や岩、低木もなく、地面は泥になっている。最も脆弱な土地に暮らす難民が、より安全な場所に移動することが必要不可欠。しかし過去数カ月に何度も環境の激変を経験してきた難民の多くは、仮設住居を離れることを躊躇している」と語っている。
一番のリスクは水に起因する病気
モンスーンによる豪雨は、難民キャンプにおける健康上のリスクを高める。特に急性水様性下痢症やコレラなど、水に起因する病気に罹る危険性を高める。仮設住宅の中まで土砂や雨水が侵入してくる。子ども達の足元を流れる水は不衛生だ。清潔な水での手洗いができる環境や設備も少ない。トイレも充実していない。キャンプ内を流れる水には汚物も含まれている。簡単に病気になりやすい環境だ。さらに病気になっても薬や医療施設も充実していない。死につながる病気になる可能性もある。
「モンスーンによる雨が激しくなるにつれ、子どもたちが直面する危険も増す。怪我をしたり、家族と離ればなれになったり、土砂崩れや洪水によって命を落としたりする危険に加え、病気に罹ったり、保健や教育を含む必要不可欠なサービスを受けられなくなるリスクもある。何千人もの子どもたちがさらなる大惨事に見舞われることを回避するためにも、 緊急に支援が必要」とベイグベデル氏はコメントしている。